ピモベンダンの筋肉内投与が奏効した急性心原性肺水腫の犬の1例

症例はトイ・プードル,去勢雄,10歳で,呼吸数の増加を主訴に来院した。聴診にて左側胸壁心尖部に収縮期雑音Levine IV/VIが聴取された。胸部X線検査にて,左心系の拡大と肺門部から肺後葉にかけての不透過性亢進が認められた。心エコー図検査では,僧帽弁に肥厚と変形(粘液腫様変性)を認め,僧帽弁逆流,左房および左室の拡張が確認された。以上の検査所見から,僧帽弁閉鎖不全症による急性心原性肺水腫と診断した。症例の性格を考慮して静脈ラインの確保は断念し,フロセミド,ピモベンダン,ブトルファノールを筋肉内投与した。また,飼い主に抱えてもらいながら,100%酸素をフローバイにて吸入させた。治療開始から6時...

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Veröffentlicht in:Dōbutsu no junkanki 2023, Vol.56(2), pp.95-100
Hauptverfasser: 岡田, 卓, 内田, 雄太, 廣中, 大資
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例はトイ・プードル,去勢雄,10歳で,呼吸数の増加を主訴に来院した。聴診にて左側胸壁心尖部に収縮期雑音Levine IV/VIが聴取された。胸部X線検査にて,左心系の拡大と肺門部から肺後葉にかけての不透過性亢進が認められた。心エコー図検査では,僧帽弁に肥厚と変形(粘液腫様変性)を認め,僧帽弁逆流,左房および左室の拡張が確認された。以上の検査所見から,僧帽弁閉鎖不全症による急性心原性肺水腫と診断した。症例の性格を考慮して静脈ラインの確保は断念し,フロセミド,ピモベンダン,ブトルファノールを筋肉内投与した。また,飼い主に抱えてもらいながら,100%酸素をフローバイにて吸入させた。治療開始から6時間後の胸部X線検査において,肺水腫が軽減し,呼吸状態も改善傾向にあったため,内服による治療に移行した。本症例にはピモベンダンを筋肉内に投与したが,有害作用を引き起こすことなく急性心原性肺水腫から離脱させることができた。
ISSN:0910-6537
1883-5260
DOI:10.11276/jsvc.56.95