東京に生きる若年女性のキャリア: 空間的移動に着目して
若者は,少しでも望ましい生活を送るための資源調達の可否を勘案しながら,居住地と就業地を選択している。不安定雇用の若者,中でも女性はなおさらそうである。しかし,学卒後の空間的位置の変化も含めて,大都市の若者の移行の実態を明らかにした研究はあまりない。本稿では,都内の二つの公立普通科高校を卒業した若者に対するパネル調査の結果をもとに,東京に生きる若年女性のキャリアを空間的移動と関わらせながら検討した。 その結果,第一に,後期青年期の前半といえる高卒後 5 年間では,雇用が不安定化・流動化するほど,就業先も居住地も狭い空間内に留まり続ける傾向が浮かび上がった。 第二に,結婚は相対的に学歴の高い女...
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Veröffentlicht in: | Kyōiku shakaigaku kenkyū 2018/05/31, Vol.102, pp.125-144 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 若者は,少しでも望ましい生活を送るための資源調達の可否を勘案しながら,居住地と就業地を選択している。不安定雇用の若者,中でも女性はなおさらそうである。しかし,学卒後の空間的位置の変化も含めて,大都市の若者の移行の実態を明らかにした研究はあまりない。本稿では,都内の二つの公立普通科高校を卒業した若者に対するパネル調査の結果をもとに,東京に生きる若年女性のキャリアを空間的移動と関わらせながら検討した。 その結果,第一に,後期青年期の前半といえる高卒後 5 年間では,雇用が不安定化・流動化するほど,就業先も居住地も狭い空間内に留まり続ける傾向が浮かび上がった。 第二に,結婚は相対的に学歴の高い女性にとっては職業的・空間的選択を制約するものとなっていた一方で,学歴が低く不安定な就業状況にある女性たちにとっては,展望の不透明さから抜け出す手かがりとして位置付いていた。しかしその実現は容易ではなかった。 第三に,後期青年期の後半といえる20代後半から30代前半にかけて,非正規労働に従事していた女性たちのキャリアは,結婚や正社員登用の有無を軸に分岐し,その分岐が彼女たちとコミュニティとの関係の違いを生み出していた。結婚ルートにも正社員ルートにも接続しない非正規単身女性たちは,消費文化世界へのコミットに必要な空間的移動をすべく,できる限り時間的な制約を受けない就業を続けようとしていた。 |
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ISSN: | 0387-3145 2185-0186 |
DOI: | 10.11151/eds.102.125 |