左乳頭に限局した乳腺原発悪性リンパ腫の1例
乳腺悪性リンパ腫は比較的まれな疾患であり,乳腺悪性腫瘍の0.04~0.53%の頻度とされている.また全悪性リンパ腫に対する乳腺原発の頻度は,2.0%とまれである.悪性リンパ腫の乳房内発症部位については外上部区域が最も多く,乳頭・乳輪周辺区域は比較的少ないとされている.今回我々は,乳頭に限局した乳腺原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は70代女性,201X年5月に急速に左乳頭部がクルミ大まで腫大し,6月に皮膚科を受診した.患部に圧痛を伴うことから感染症を疑い,抗生剤投与で経過をみていたが改善なく,精査目的にて乳腺外科を受診となった.視触診上,左乳頭は2.5×2.1 cmと腫大してい...
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Veröffentlicht in: | Japanese journal of medical ultrasound technology 2019/10/01, Vol.44(5), pp.586-591 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 乳腺悪性リンパ腫は比較的まれな疾患であり,乳腺悪性腫瘍の0.04~0.53%の頻度とされている.また全悪性リンパ腫に対する乳腺原発の頻度は,2.0%とまれである.悪性リンパ腫の乳房内発症部位については外上部区域が最も多く,乳頭・乳輪周辺区域は比較的少ないとされている.今回我々は,乳頭に限局した乳腺原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は70代女性,201X年5月に急速に左乳頭部がクルミ大まで腫大し,6月に皮膚科を受診した.患部に圧痛を伴うことから感染症を疑い,抗生剤投与で経過をみていたが改善なく,精査目的にて乳腺外科を受診となった.視触診上,左乳頭は2.5×2.1 cmと腫大していた.マンモグラフィでは両乳房とも腫瘤は認めず,左乳頭腫大,カテゴリー3の判定であった.超音波検査では,左乳頭全体を占める2.9×2.6×1.2 cmの内部は極低エコーで,後方エコー増強を伴う腫瘤を認めた.乳頭部腺腫を疑ったが乳癌も否定できないため,左乳頭腫瘤に対し穿刺吸引細胞診を施行したところ,悪性リンパ腫疑いの診断であった.確定診断のため同部に対して生検を試みたが部分切除が難しく,乳頭乳輪部切除となった.病理組織診断の結果,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された.乳頭から発症する腫瘤としては乳頭部腺腫が一般的であり,その超音波像は,乳頭部もしくは乳頭下の境界明瞭な低エコー充実性腫瘤として描出される.そのような超音波像を示した場合でも急速に増大を認め,内部エコーが極低エコーで均一な場合は,悪性リンパ腫も鑑別疾患の一つとして考慮すべき症例であると考えられた. |
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ISSN: | 1881-4506 1881-4514 |
DOI: | 10.11272/jss.286 |