重症下肢虚血における下肢動脈超音波検査による解剖学的亜型検出の有用性

はじめに:下腿動脈3分枝の約10%に脛骨動脈の起始異常や低形成などの解剖学的亜型の存在が知られている.特にType IIIは,前脛骨動脈,後脛骨動脈の一方もしくは両方が低形成や無形成であり,血管造影ではこれらと通常解剖の慢性完全閉塞を区別することは困難である.したがって,重症下肢虚血(CLI)の血行再建前に下腿動脈の解剖学的特性を認識することは重要であり,事前に超音波検査で亜型の存在を指摘できれば治療の手助けとなる.目的:下肢動脈超音波検査において下腿動脈3分枝の亜型であるType IIIについて,CLIとの関連とその特徴について検討すること.対象と方法:当院で2016年1月~2017年10月...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of medical ultrasound technology 2019/04/01, Vol.44(2), pp.201-212
Hauptverfasser: 本多, 飛鳥, 小谷, 敦志, 朴澤, 耕治, 小川, 幸宏, 岡村, 亜貴, 中山, 未彩, 佐藤, 創
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:下腿動脈3分枝の約10%に脛骨動脈の起始異常や低形成などの解剖学的亜型の存在が知られている.特にType IIIは,前脛骨動脈,後脛骨動脈の一方もしくは両方が低形成や無形成であり,血管造影ではこれらと通常解剖の慢性完全閉塞を区別することは困難である.したがって,重症下肢虚血(CLI)の血行再建前に下腿動脈の解剖学的特性を認識することは重要であり,事前に超音波検査で亜型の存在を指摘できれば治療の手助けとなる.目的:下肢動脈超音波検査において下腿動脈3分枝の亜型であるType IIIについて,CLIとの関連とその特徴について検討すること.対象と方法:当院で2016年1月~2017年10月までに下肢虚血が疑われ下肢動脈超音波検査を行った353例603肢(男238例,女115例,平均年齢72±11歳)を対象とした.CLI群と非CLI群でのType IIIの割合や,通常解剖群とType III群における超音波所見について後方視的に検討した.結果:全体のうち26例31肢(5.1%)にType IIIを認め,その内訳はType III-A 14肢(2.3%),Type III-B 15肢(2.4%),Type III-C 2肢(0.3%)であった.CLI 156肢中Type IIIは17肢(10.9%),非CLI 447肢中Type IIIは14肢(3.1%)で,CLIで有意にType IIIを多く認めた(p<0.001).通常解剖群における足関節部レベルでの前脛骨動脈と後脛骨動脈の走行角度は176±3.5度,165±7.8度とほぼ水平に近い角度で走行するのに対し,Type III群では腓骨動脈から前脛骨動脈遠位部あるいは後脛骨動脈遠位部に屈曲して合流するため,それぞれ154±13.7度,142±18.5度と通常解剖群に比し走行角度に有意な差を認めた.また,Type III群の低形成前・後脛骨動脈の血管径は通常解剖群に比べ有意に細くdiameter-ratioにも有意な差を認めた.結語:Type IIIの割合は,非CLIに比べCLIで多かった.また,血管造影では下腿動脈閉塞例において評価が困難な場合が多いが,超音波検査は下腿動脈の通常解剖とType IIIの鑑別に有用であった.下肢動脈超音波検査によるCLIの解剖学的亜型の検出は有用である.
ISSN:1881-4506
1881-4514
DOI:10.11272/jss.44.201