集団意思決定におけるチーム指向性の定量評価とその応用

本論文は,集団意思決定の場面において,集団内の構成員が「集団の目的を共有している度合」を定量的に表現する手法を提案する.定量化された「目的の共有度合い」を用いることで,その集団の振る舞いや能力の推定を行うことができる.これを検証するため,集団意思決定の実践的な場面を評価の舞台として,提案手法の評価実験を行う.集団意思決定は,生物の中でも人間にしかできない高度で複雑なコミュニケーションであり,集団意思決定によってより良い判断を継続的に行うことができる.一方で,集団となることによって,個人で意思決定を行う場合よりも時間を要してしまったり,著しく悪い判断をしてしまうことが稀に起こる.このような現象が...

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Veröffentlicht in:Journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics 2018/08/15, Vol.30(4), pp.605-612
Hauptverfasser: 大木, 真, 工藤, 海人, 徳永, 弦己
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:本論文は,集団意思決定の場面において,集団内の構成員が「集団の目的を共有している度合」を定量的に表現する手法を提案する.定量化された「目的の共有度合い」を用いることで,その集団の振る舞いや能力の推定を行うことができる.これを検証するため,集団意思決定の実践的な場面を評価の舞台として,提案手法の評価実験を行う.集団意思決定は,生物の中でも人間にしかできない高度で複雑なコミュニケーションであり,集団意思決定によってより良い判断を継続的に行うことができる.一方で,集団となることによって,個人で意思決定を行う場合よりも時間を要してしまったり,著しく悪い判断をしてしまうことが稀に起こる.このような現象が発生する原因の1つとして,集団を構成する個人が集団の目的を十分に認識せずに議論していることが考えられている.そのため本論文では,企業や自治体等での複数人で行う意思決定の場面において,その集団の目的認識の一致の程度「チーム指向性」を定量的に評価する方法を提案する.既存の手法に大木らの提案する「見解間距離均等法」という集団分析手法がある.この手法はVDIと各付け値という2つの固有の数値を用いて,集団を大きく4つに分類できることを論理的に示している.本研究では,この見解間距離均等法をより様々な場面に適用可能とするために,定義の変形を行う.さらに実践的な場面に適用することで,VDIがチーム指向性と強く関連していることを明らかにするための実験を行った.見解間距離均等法の定義の改良により,スケールが大きく異なる評価項目を持つデータ同士についても,分析をすることが可能となり,さらに種類の異なる(集団の構成員数や状況の異なる)データ同士でも,導出されたVDIをそのまま比較することが可能となった.この利点を活かし,実践的場面における集団意思決定の分析を試みた結果,VDIによってチーム指向性を定量的に計測することができることを確認した.さらにチーム指向性が高い集団ほどチームとして良い結果を出しやすいことが確認された.Dickinsonらのチームワーク測定モデルや,山口らのチームワークモデルにおいて,チームワークを測る重要な指標として「team orientation(チーム指向性)」が定義されている.これまでは,このチーム指向性は定性的にしか表現することができなかったが,本研究のVDIによって定量的に計測することを実現した.
ISSN:1347-7986
1881-7203
DOI:10.3156/jsoft.30.4_605