兵庫県におけるコナラ二次林の維管束植物種数にニホンジカと常緑広葉樹林化が及ぼす負の影響の空間変異

ニホンジカ(以降、シカ)と常緑広葉樹林化がコナラ二次林の維管束植物の出現種数に及ぼす影響の強さとその空間変異を、兵庫県全域のスケールで推定した。一般化線形混合モデルによる解析の結果、調査地域のコナラ二次林の出現種数に対して、シカの影響の強さの指標であるSDRと常緑広葉樹林化の指標である常緑樹被度の2変数による強い効果が示された。生活形別の解析から、SDRが低木種とツル植物を中心に負の影響を及ぼすのに対し、常緑樹被度はより広範な種群の落葉性植物に負の影響を及ぼすことが明らかとなった。空間パタンの評価から、シカの影響による出現種数の減少は調査地域の南東部を除いた標高300 m以上の山域を中心に、常...

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Veröffentlicht in:Hozen Seitaigaku Kenkyu = Japanese Journal of Conservation Ecology 2017, Vol.22(2), pp.299-310
1. Verfasser: 藤木, 大介
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:ニホンジカ(以降、シカ)と常緑広葉樹林化がコナラ二次林の維管束植物の出現種数に及ぼす影響の強さとその空間変異を、兵庫県全域のスケールで推定した。一般化線形混合モデルによる解析の結果、調査地域のコナラ二次林の出現種数に対して、シカの影響の強さの指標であるSDRと常緑広葉樹林化の指標である常緑樹被度の2変数による強い効果が示された。生活形別の解析から、SDRが低木種とツル植物を中心に負の影響を及ぼすのに対し、常緑樹被度はより広範な種群の落葉性植物に負の影響を及ぼすことが明らかとなった。空間パタンの評価から、シカの影響による出現種数の減少は調査地域の南東部を除いた標高300 m以上の山域を中心に、常緑広葉樹林化の影響による出現種数の減少は、瀬戸内側の標高300 m未満の低山域を中心に進行していることが示された。このような地理的な相違は、過去数十年間に調査地域の南東部を除いた標高300 m以上の山域からシカの生息密度の増加と分布拡大が進んだこと、気温と積雪の制約から常緑広葉樹の生育適地が瀬戸内側の標高300 m未満の低山帯に偏っていることに起因するものと推測された。
ISSN:1342-4327
2424-1431
DOI:10.18960/hozen.22.2_299