内在性RNA ウイルスエレメントによるウイルスRNA 制御仮説

内在性ボルナウイルス様エレメント (Endogenous bornavirus-like element: EBL) は,過去のボルナウイルス感染により内在化したボルナウイルス由来配列である.EBL の発見以来,ボルナウイルスのみならず,様々なRNA ウイルス遺伝子の内在化が見つかってきている.一方で,それらの内在性RNA ウイルスエレメントの生理機能についての解析は緒についたばかりである.本稿では,その中で最も研究が進んでいるEBL の生理機能について,私たちの研究を中心に最新の知見を紹介する.EBL の生理機能解析からわかってきたことは,宿主細胞はRNA ウイルス遺伝子由来の配列を利用し,...

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Veröffentlicht in:Uirusu 2016/06/25, Vol.66(1), pp.39-46
Hauptverfasser: 本田, 知之, 朝長, 啓造
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:内在性ボルナウイルス様エレメント (Endogenous bornavirus-like element: EBL) は,過去のボルナウイルス感染により内在化したボルナウイルス由来配列である.EBL の発見以来,ボルナウイルスのみならず,様々なRNA ウイルス遺伝子の内在化が見つかってきている.一方で,それらの内在性RNA ウイルスエレメントの生理機能についての解析は緒についたばかりである.本稿では,その中で最も研究が進んでいるEBL の生理機能について,私たちの研究を中心に最新の知見を紹介する.EBL の生理機能解析からわかってきたことは,宿主細胞はRNA ウイルス遺伝子由来の配列を利用し,様々な機構でウイルス感染を制御している可能性である.その制御は,ウイルスの転写・複製過程および転写後のウイルスRNA 安定性の両方のレベルにおいて起きていると考えられる.また,EBL の解析により,今まで哺乳類ではその存在が想定されて来なかった低分子RNA 増幅システムの可能性が見えてきたので,合わせて紹介したい.
ISSN:0042-6857
1884-3433
DOI:10.2222/jsv.66.39