ジビニルエーテルのリビング環化重合:モノマー逐次添加と星型ポリマー化による高分子量環化ポリマーの合成

1,2-ビス(2-ビニロキシエトキシ)ベンゼン(1)のリビングカチオン環化重合を,トルエン溶媒中,0°Cで,CH3CH(OiBu)OCOCH3/Et1.5AlCl1.5/CH3COOEt開始剤系を用いて検討した.重合反応は,不溶性のゲルを生成しないで,有機溶媒に可溶なポリマーを定量的に生成して進行した.ポリマーの数平均分子量(Mn)は,重合率に比例して増加し,ほぼ重合が終了した反応溶液に新しいモノマーを添加するとさらに増加し,1のリビング環化重合が起きたことがわかった.生成したポリマー中の未反応ビニル基の含量は5 mol%以下であった.したがって,ポリマーの環化率は95%程度であると推定された...

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Veröffentlicht in:Kōbunshi ronbunshū (Tokyo) 2017/05/25, Vol.74(3), pp.215-224
Hauptverfasser: 丹羽, 貴大, 橋本, 保, 漆﨑, 美智遠, 阪口, 壽一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:1,2-ビス(2-ビニロキシエトキシ)ベンゼン(1)のリビングカチオン環化重合を,トルエン溶媒中,0°Cで,CH3CH(OiBu)OCOCH3/Et1.5AlCl1.5/CH3COOEt開始剤系を用いて検討した.重合反応は,不溶性のゲルを生成しないで,有機溶媒に可溶なポリマーを定量的に生成して進行した.ポリマーの数平均分子量(Mn)は,重合率に比例して増加し,ほぼ重合が終了した反応溶液に新しいモノマーを添加するとさらに増加し,1のリビング環化重合が起きたことがわかった.生成したポリマー中の未反応ビニル基の含量は5 mol%以下であった.したがって,ポリマーの環化率は95%程度であると推定された.ジビニルエーテル1の環化ポリマーの高分子量体を得るために,モノマーの逐次添加と環化ポリマーの成長末端をミクロゲル化して星型環化ポリマーの合成を行った.モノマーの逐次添加では,2回のモノマー添加後,すなわち三段階目の重合中,重合率244%まで可溶性のポリマーを生成し,高分子量環化ポリマー(Mn=21,400)が得られた.トルエン溶媒中,0°Cで環化成長末端とシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(2)を架橋剤として反応させた星型ポリマー化では,星型ポリマーの収率は高収率(~91%)でコア架橋星型環化ポリマー[star-poly(1) with 2] (Mn=127,000)が生成した.同様に,2,2-ビス{4-[2-(ビニロキシ)エトキシ]フェニル}プロパン(3)を架橋剤として用いて星型ポリマーの合成をすると,高収率(~93%)でコア架橋星型環化ポリマー(1) [star-poly(1) with 3] (Mn=125,000)が生成した.得られた分子量の異なるpoly(1)のガラス転移温度(Tg)は,Mn=8,000で96°C,Mn=19,000で106°Cだった.架橋剤に2を用いて合成した星型環化ポリマーであるstar-poly(1) (Mn=96,100)のTgは112°C,架橋剤に3を用いて合成した星型環化ポリマーであるstar-poly(1) (Mn=72,600)のTgは103°Cだった.これらの環化ポリマーは,十三員環と推定されるクラウンエーテル状の比較的柔軟な大環構造繰返し単位を有しているにも関わらず,高いガラス転移温度を有することがわかった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.2017-0005