衛生動物及び関連疾病の分布解析における地理情報システムの応用

「はじめに」自然環境・社会経済・国境紛争に伴う人の移動等の問題に起因して, 衛生動物関連疾病の分布域は世界的な規模で変化しつつある. マラリア, フィラリア症, デング熱, メジナ虫症などの重篤な節足動物媒介性疾病は, 開発途上国や内戦国の貧困地域に多く, これらの疾病の現地調査を行うことには各種の制約がある. 温帯・亜寒帯の先進国でも, 温暖化, 難民や避難民, 動物などの移動によって, 新興・再興感染症の流行が予期せぬ場所で発生するようになってきた. これらの疾病を予防するためには, 疾病情報をいかに迅速・的確に把握して疾病対策を立案するかが重要である. 近年, 衛生動物または関連疾病の発...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Medical Entomology and Zoology 2016/06/25, Vol.67(2), pp.69-77
1. Verfasser: 二瓶, 直子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」自然環境・社会経済・国境紛争に伴う人の移動等の問題に起因して, 衛生動物関連疾病の分布域は世界的な規模で変化しつつある. マラリア, フィラリア症, デング熱, メジナ虫症などの重篤な節足動物媒介性疾病は, 開発途上国や内戦国の貧困地域に多く, これらの疾病の現地調査を行うことには各種の制約がある. 温帯・亜寒帯の先進国でも, 温暖化, 難民や避難民, 動物などの移動によって, 新興・再興感染症の流行が予期せぬ場所で発生するようになってきた. これらの疾病を予防するためには, 疾病情報をいかに迅速・的確に把握して疾病対策を立案するかが重要である. 近年, 衛生動物または関連疾病の発生位置情報を収集する手段として地理情報システムGISが用いられてきている. 医療・医学におけるGISは, いわゆる「顧みられない熱帯病」対策や学校保健・母子保健など保健分野で, 携帯情報端末(personal digital assistant, PDA)を用いた医療情報の収集, データの整理, 現状把握, 問題点の指摘, 対策とその効果, 今後の目標の設定などのために用いられてきたり, 医療施設へのアクセスについてその適正配置, 医療行政の意思決定にも使われており, 患者発生地点の図化は啓発的効果が大きい.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.67.69