1次元局所慣性方程式に対する摩擦項を考慮した数値安定性解析

高速な洪水・氾濫計算を実現できる数値モデルの中核として,浅水方程式の慣性項を無視した局所慣性方程式が注目されている.局所慣性方程式を有限差分法によって離散化する場合,摩擦項の半陰的な取り扱いが数値解の安定性を担保し,陽的な取り扱いと比較して許容タイムステップを著しく大きく指定できることが経験的には指摘されてきた.しかし,摩擦項の取り扱いが数値解の安定性に及ぼす影響を理論的に定量化した研究例はない.本研究では,von Neumannの安定性解析を用いて,線形化した摩擦項の取り扱いが空間1次元の局所慣性方程式に対する数値解の安定性に及ぼす影響を定量的に検討した.安定性解析の結果から,摩擦項を陽的に...

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Veröffentlicht in:Doboku Gakkai Ronbunshu. B1, Suikogaku = Journal of Japan Society of Civil Engineers. Ser. B1, Hydraulic Engineering 2017, Vol.73(4), pp.I_577-I_582
Hauptverfasser: 田中, 智大, 吉岡, 秀和, 木村, 匡臣, 山崎, 大
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:高速な洪水・氾濫計算を実現できる数値モデルの中核として,浅水方程式の慣性項を無視した局所慣性方程式が注目されている.局所慣性方程式を有限差分法によって離散化する場合,摩擦項の半陰的な取り扱いが数値解の安定性を担保し,陽的な取り扱いと比較して許容タイムステップを著しく大きく指定できることが経験的には指摘されてきた.しかし,摩擦項の取り扱いが数値解の安定性に及ぼす影響を理論的に定量化した研究例はない.本研究では,von Neumannの安定性解析を用いて,線形化した摩擦項の取り扱いが空間1次元の局所慣性方程式に対する数値解の安定性に及ぼす影響を定量的に検討した.安定性解析の結果から,摩擦項を陽的に離散化した場合の許容タイムステップが半陰的な場合と比較して著しく小さく,空間ステップが大きい場合に極限値を持つことを示した.また,半陰的な離散化はこの事態を回避できることも示した.さらに,理論的な安定性解析の結果が数値実験の結果と良好に一致することを示した.本研究から,局所慣性方程式に基づく実用的な洪水・氾濫解析において摩擦項の半陰的な取り扱いが果たす役割の重要性が定量的に解明された.
ISSN:2185-467X
DOI:10.2208/jscejhe.73.I_577