卵白タンパク質ナノ粒子の作製と細胞接着制御への応用

培養に用いる器材表面への細胞の接着・非接着を簡便に制御する表面改質技術の開発が求められている.本研究では,オボアルブミン(OVA)とオボトランスフェリン(OTF)を主成分とする卵白タンパク質ナノ粒子を表面改質剤として用いることによる,ポリマー器材表面への細胞接着の制御について検討した.また比較として,OVAの代わりにN末端領域の欠損したトランケート型OVA (pOVA)を用いたナノ粒子の調製についても検討し,その物性および表面改質剤としての機能を評価した.OVAとOTFもしくはpOVAとOTFの混合溶液を熱処理することで粒径40–80 nmの卵白タンパク質ナノ粒子を作製した.二種類のタンパク質...

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Veröffentlicht in:Kōbunshi ronbunshū (Tokyo) 2018/01/25, Vol.75(1), pp.61-68
Hauptverfasser: 和久, 友則, 金丸, 佳央理, 廣山, 慶是, 佐々木, るりほ, 森本, 直也, 田中, 直毅
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:培養に用いる器材表面への細胞の接着・非接着を簡便に制御する表面改質技術の開発が求められている.本研究では,オボアルブミン(OVA)とオボトランスフェリン(OTF)を主成分とする卵白タンパク質ナノ粒子を表面改質剤として用いることによる,ポリマー器材表面への細胞接着の制御について検討した.また比較として,OVAの代わりにN末端領域の欠損したトランケート型OVA (pOVA)を用いたナノ粒子の調製についても検討し,その物性および表面改質剤としての機能を評価した.OVAとOTFもしくはpOVAとOTFの混合溶液を熱処理することで粒径40–80 nmの卵白タンパク質ナノ粒子を作製した.二種類のタンパク質の仕込み混合比は,得られるナノ粒子のζ-電位に大きく影響した.ANS蛍光アッセイより両ナノ粒子はともに疎水性表面をもつことが示唆された.また,これらのナノ粒子によりポリスチレン基板をコーティングすることで,表面が親水化されることがわかった.さらに,ナノ粒子をコーティングしたポリスチレン基板上でのHepG2細胞の培養を検討したところ,OVA-OTFナノ粒子をコーティングした場合には,ナノ粒子の組成にかかわらず基板表面への細胞接着は促進された.これに対して,pOVA-OTFナノ粒子をコーティングした場合には,ナノ粒子の組成により基板への細胞接着性が大きく異なることが明らかになった.以上より,卵白タンパク質ナノ粒子によるコーティングは,基板表面への細胞の接着・非接着を制御するための表面改質法として有用であることが期待される.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.2017-0070