O-11-06 青年期重症心身障害者のアドバンス・ケア・プランニング

はじめに青年期重症心身障害者は、身体的変化や変形に伴う呼吸障害により急変のリスクが高い。訪問看護では、急変に備えて心肺蘇生の希望や、急変時、挿管・気管切開(以下、気切)の選択、看取りの場などアドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)を行う。新型コロナ感染症流行により療養環境が変化する中で、本人・家族が後悔ない最期を迎えるために取り組んだACPについて検討する。症例20代男性。脳性麻痺、難治性てんかん、知的障害。てんかん発作、不随意運動以外は自発的な動きはない。快不快の表情の変化はあるが、意思疎通は困難。日常生活は全介助。週5回通所。両親ときょうだいの6人暮し。[18歳]側彎悪化により経鼻胃...

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Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2021, Vol.46(2), pp.268-268
1. Verfasser: 岸野, 美由紀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに青年期重症心身障害者は、身体的変化や変形に伴う呼吸障害により急変のリスクが高い。訪問看護では、急変に備えて心肺蘇生の希望や、急変時、挿管・気管切開(以下、気切)の選択、看取りの場などアドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)を行う。新型コロナ感染症流行により療養環境が変化する中で、本人・家族が後悔ない最期を迎えるために取り組んだACPについて検討する。症例20代男性。脳性麻痺、難治性てんかん、知的障害。てんかん発作、不随意運動以外は自発的な動きはない。快不快の表情の変化はあるが、意思疎通は困難。日常生活は全介助。週5回通所。両親ときょうだいの6人暮し。[18歳]側彎悪化により経鼻胃管留置困難となり胃瘻造設。[19歳]肺炎のため小児病院にて挿管含む入院加療。「次回抜管は難しい」と医師より説明。ACP:挿管・気切希望せず。自宅看取りも視野に入れ訪問診療を導入。その後、全身状態安定。ACP:急変時は救急搬送希望。[20歳]肺炎のため小児病院に入院。呼吸状態の改善なく、家族は緩和ケア病棟看取りを希望するが、その後小康状態となり退院。「新型コロナ感染症で病床は厳しい。成人であり、挿管・気切を希望しないならば、次は三次救急病院ではない病院を」と医師より説明。ACP:挿管・気切・人工呼吸器希望せず。[21歳](退院後2か月)新型コロナワクチン接種後、発熱、呼吸状態悪化し急変を繰り返す。ACP:挿管・気切希望せず。成人病院に入院、2日後に永眠する。家族は、「2か月間家族と過ごせて、苦しまずに逝けて良かった」と安堵する。考察親は子どもの最期を想像し難く、ACPはしばしば変化する。看護師は、転機の折に具体的に説明を行い、本人・家族の意向を汲み取り、不安や迷いを支えながら意思決定を支援する。制限の多いコロナ禍では、本人・家族らしい看取りの場の調整も重要である。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.46.2_268_1