重症心身障害児の臨床判断から観るケアの専門性

看護師は重症心身障害児(以下、重症児)の体調をどのように観察し臨床判断を行っているのか、重症児ケアの専門性を明らかにすることを目的とする。重症児に精通した看護師に半構成面接を行い質的記述的に分析した。その結果、看護師の臨床判断は、【重症児の特徴を踏まえて観る】をベースに、重症児特有の病態などを加味し【治療が必要な体調変化を見極める】ことで、【診断・治療の変更に結びつける代弁をする】ことにより、完治することのない重症児に【安定した体調維持への看護ケアを選択する】ことであった。これらの臨床判断は【重症児のQOLを第一に考える】という重症児を看る基本姿勢の中にあった。看護師は、重症児の日常生活に影響...

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Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2020, Vol.45(3), pp.283-290
Hauptverfasser: 土井, 恵子, 泊, 祐子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:看護師は重症心身障害児(以下、重症児)の体調をどのように観察し臨床判断を行っているのか、重症児ケアの専門性を明らかにすることを目的とする。重症児に精通した看護師に半構成面接を行い質的記述的に分析した。その結果、看護師の臨床判断は、【重症児の特徴を踏まえて観る】をベースに、重症児特有の病態などを加味し【治療が必要な体調変化を見極める】ことで、【診断・治療の変更に結びつける代弁をする】ことにより、完治することのない重症児に【安定した体調維持への看護ケアを選択する】ことであった。これらの臨床判断は【重症児のQOLを第一に考える】という重症児を看る基本姿勢の中にあった。看護師は、重症児の日常生活に影響する体調変化に着目し、日常生活パターンから逸脱状況を見極めることで、治療介入の有無を臨床判断していることが解った。つまり、単なる病状判断だけではなく重症児の生活そのものを加味しながら臨床判断を繰り返し、体調の安定した生活維持を目指すことが重症児看護の専門性であると考える。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.45.3_283