P-7-06 成人期にミトコンドリア病と確定診断できた重症心身障害者の一例
はじめに近年、医学検査の進歩により、原因が分からない重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の確定診断が可能になってきている。今回我々は小児期には確定診断できず、成人期に再評価を行いミトコンドリア病と診断できた一例を経験したので報告する。症例26歳男性で大島分類1の重症者。39週、体重1,714gで仮死なく出生。生後10か月までは緩徐に運動発達を認めるも退行した。成長障害、筋緊張亢進、精神運動発達遅滞、哺乳障害、呼吸障害、てんかんなどを伴い、大島分類1の重症児に該当した。小児期に行った原因検索では、高乳酸血症、髄液中の乳酸高値および尿中有機酸分析で多量の乳酸排泄を認めミトコンドリア病が疑われ...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2019, Vol.44(2), pp.447-447 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | はじめに近年、医学検査の進歩により、原因が分からない重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の確定診断が可能になってきている。今回我々は小児期には確定診断できず、成人期に再評価を行いミトコンドリア病と診断できた一例を経験したので報告する。症例26歳男性で大島分類1の重症者。39週、体重1,714gで仮死なく出生。生後10か月までは緩徐に運動発達を認めるも退行した。成長障害、筋緊張亢進、精神運動発達遅滞、哺乳障害、呼吸障害、てんかんなどを伴い、大島分類1の重症児に該当した。小児期に行った原因検索では、高乳酸血症、髄液中の乳酸高値および尿中有機酸分析で多量の乳酸排泄を認めミトコンドリア病が疑われた。筋生検を含め当時に行えたミトコンドリア病の各種検査を施行したが、確定診断には至らなかった。その後は、てんかん治療、呼吸管理、栄養管理など症状に合わせて生活を重視した対応を継続的に行った。繰り返し高乳酸血症を認めたため、ミトコンドリア病を再度疑った。24歳時に皮膚生検を施行し、皮膚線維芽培養細胞のミトコンドリア呼吸鎖活性でcomplex Iの低下を認めた。Bernierらによるミトコンドリア病の診断基準のDefiniteを満たし、成人期にミトコンドリア病と確定診断した。その後、コエンザイムQ10の投与を行っている。考察重症児(者)の医学を考える際には、生活を重視した対応および加齢に伴う変化への対応が求められている。一方、重症児(者)の原因評価も重要である。すでに成人期の重症者や自験例のような10-20年前の評価では原因不明と判断された重症児において、再評価の機会を得ず原因不明のまま経過している症例の存在は否定できない。医学検査の進歩に合わせ、原因不明の重症児(者)の適切な評価・診断をすることがより良い全身管理につながると考える。申告すべきCOIはない。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.44.2_447_2 |