O-14-03 当院の重症心身障害者における成人以降の脊柱側弯症の経過と傾向
はじめに重症心身障害者(以下、重症者)において、脊柱側弯症(以下、側弯症)が合併することはよく知られている。脳性麻痺など神経筋原性の側弯症は、骨成熟後も側弯が進行するといわれているが、詳細な検討は少ない。今回、当院に入所する利用者に対して、成人以降の側弯の経過を後方視的に調査し、その傾向を検討した。対象と方法対象は当院に入所する大島分類1〜4の重症者16名(男性7名、女性9名)、年齢(最終データ時)45±13歳。経時的に脊柱臥位正面単純X線撮影が行われ、経過を追えた者とした。調査方法はX線画像およびカルテから得られたcobb角の経年変化をグラフ化し、側弯の変形進行角度と変化の傾向を調査した。結...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2019, Vol.44(2), pp.378-378 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | はじめに重症心身障害者(以下、重症者)において、脊柱側弯症(以下、側弯症)が合併することはよく知られている。脳性麻痺など神経筋原性の側弯症は、骨成熟後も側弯が進行するといわれているが、詳細な検討は少ない。今回、当院に入所する利用者に対して、成人以降の側弯の経過を後方視的に調査し、その傾向を検討した。対象と方法対象は当院に入所する大島分類1〜4の重症者16名(男性7名、女性9名)、年齢(最終データ時)45±13歳。経時的に脊柱臥位正面単純X線撮影が行われ、経過を追えた者とした。調査方法はX線画像およびカルテから得られたcobb角の経年変化をグラフ化し、側弯の変形進行角度と変化の傾向を調査した。結果調査の結果、14名(88%)が成人以降に20°以上の著明な側弯の進行を認めなかった。2名(12%)は20〜30歳代でcobb角21°、23°と側弯進行を認めた。全体の経過の中で10°前後のcobb角の変化は見られたが、一定方向へ継続的に変化し続けたものは認められなかった。全体を通して、30歳台以降ではcobb角が大きく進行せず安定していく傾向がみられた。考察今回の調査結果から、重症者の成人以降における著明な側弯進行のリスクは低いことが示唆された。当院では必要に応じて個々の身体に合わせた車椅子をオーダーメードで作製するなど日常生活の姿勢に配慮しており、姿勢が崩れる機会を少しでも軽減できたことが側弯進行の割合を少なくさせられた要因の一つと考える。Cobb角の変化に一貫性がなかった要因として、撮影時の筋緊張の状態や骨盤のねじれなど3次元的に曲がっているものが2次元に投影された際の誤差と考える。今回、対象の多くが著明な側弯の進行を認めなかったものの、側弯進行を予防するにあたり一人一人の特性に合わせたシーティングやポジショニングなど生活環境の調整は必要と考える。申告すべきCOIはない。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.44.2_378_1 |