P-1-C02 長期人工呼吸管理から離脱可能となった重症心身障害児の2例

はじめに急性期に人工呼吸からの離脱ができない症例はその後の人工呼吸器管理が長期化する。人工呼吸器から離脱するには一回換気量の増加や呼吸筋の収縮力の増大が重要と考えられている。しかし、意思疎通ができない重症心身障害児では、呼吸筋トレーニングが難しく、その他の合併症もあるため離脱が一層困難となる。今回、長期の人工呼吸器管理を要したものの離脱が可能となった2例を経験したので報告する。症例症例1は低酸素性虚血性脳症の後遺症による、痙性四肢麻痺、大島分類1の12歳、男児。人工呼吸器装着期間は5年11か月。日中の自発呼吸はあるものの、夜間睡眠時に無呼吸を認めた。理学療法を行い、日中に短時間の離脱から開始、...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2018, Vol.43(2), pp.342-342
1. Verfasser: 石井, 希代子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに急性期に人工呼吸からの離脱ができない症例はその後の人工呼吸器管理が長期化する。人工呼吸器から離脱するには一回換気量の増加や呼吸筋の収縮力の増大が重要と考えられている。しかし、意思疎通ができない重症心身障害児では、呼吸筋トレーニングが難しく、その他の合併症もあるため離脱が一層困難となる。今回、長期の人工呼吸器管理を要したものの離脱が可能となった2例を経験したので報告する。症例症例1は低酸素性虚血性脳症の後遺症による、痙性四肢麻痺、大島分類1の12歳、男児。人工呼吸器装着期間は5年11か月。日中の自発呼吸はあるものの、夜間睡眠時に無呼吸を認めた。理学療法を行い、日中に短時間の離脱から開始、徐々に時間を延長した。ウイーニング期間は約4か月。離脱から半年以上経過している。症例2は脳性麻痺、大島分類1の10歳、男児。超低出生体重児、重度の慢性肺疾患、喉頭軟化、誤嚥があり人工呼吸器管理を必要とした。人工呼吸器装着期間は6年4か月。理学療法、スピーチバルブの使用にて短時間の離脱から開始した。ウイーニング期間は約1年、離脱から3年以上経過している。考察症例1は日中の離脱時間を徐々に延ばすことで、呼吸筋力が改善、夜間の自発呼吸も賦活され無呼吸が消失したと考えられた。症例2は治療による重症慢性肺疾患の改善、年齢による喉頭軟化症の改善、スピーチバルブの使用による誤嚥の予防により部分離脱が可能となり、徐々に呼吸筋力が改善したと考えられた。まとめ人工呼吸器からの離脱は患者のQOLを大幅に向上させ、さらに医療費の削減にもつながる。急性期に離脱が困難だとしても、自発呼吸がある患者については定期的な評価、困難な原因を再考し、解決することで、将来的に離脱できる可能性がある。また、呼吸筋力の低下も考慮し、ある程度期間をかけて離脱することが必要と考えられた。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.43.2_342_1