O-2-Z14 身体拘束の工夫により重症心身障害者のQOL向上につなげるための取り組み

はじめにA氏は直腸癌により人工肛門造設術後に左手で人工肛門を掻破し出血したことから、左上肢の身体拘束が開始され7年間ベッド上で身体拘束をされていた。加齢に伴い体動が減ってきたため、身体拘束の見直しが必要であると考えた。身体拘束を見直し検討した結果、左上肢の機能維持ができ睡眠時間の改善がみられたため報告する。目的長期に及ぶA氏の身体拘束を見直し検討することで、苦痛を最小限にして快につながることを確認する。対象A氏 70歳代 男性 大島分類2 太田ステージI−1(3)方法1)アンケートを作成する。(身体拘束に対する病棟職員の認識について) 2)1〜5段階で左上肢の固定帯を外す。 3)左上肢の可動域...

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Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2018, Vol.43(2), pp.304-304
Hauptverfasser: 久山, 裕子, 船木, 恵美子, 久保田, 裕子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめにA氏は直腸癌により人工肛門造設術後に左手で人工肛門を掻破し出血したことから、左上肢の身体拘束が開始され7年間ベッド上で身体拘束をされていた。加齢に伴い体動が減ってきたため、身体拘束の見直しが必要であると考えた。身体拘束を見直し検討した結果、左上肢の機能維持ができ睡眠時間の改善がみられたため報告する。目的長期に及ぶA氏の身体拘束を見直し検討することで、苦痛を最小限にして快につながることを確認する。対象A氏 70歳代 男性 大島分類2 太田ステージI−1(3)方法1)アンケートを作成する。(身体拘束に対する病棟職員の認識について) 2)1〜5段階で左上肢の固定帯を外す。 3)左上肢の可動域の評価をする。 4)快の評価をする。(脈拍数、睡眠状況、表情、唾液中αアミラーゼ) 結果左上肢に24時間プロテクターを装着していたときと外したときを比較すると、平均睡眠時間は介入前5.6時間から介入後最大6.6時間となった。0時までに入眠できた割合は第5段階が多かった。脈拍の変化や左上肢の可動域による変化はなかった。唾液アミラーゼ値は段階を経て低下した。表情の変化はA氏の微笑写真を用い、研究開始時は観察項目欄に「表情無し」と記入されていたが段階を経て、第5段階では「穏やかな(笑顔がみられる・苦痛表情)表情」が、36.7%に増えた。考察身体拘束を外したが、左上肢の可動域に変化はなかった。唾液アミラーゼ値の低下はストレスが減ったことを表している。また、身体拘束を外すことにより、A氏の表情は、「表情無し」から、苦痛表情がなくなるなど「穏やかな表情」に変化し、「快」につながったと考える。利用者の状況に応じて身体拘束を常に見直し、工夫することが、利用者のQOLの向上にとって重要であることを再認識した。結論長期に身体拘束をしていたA氏の、身体拘束を見直し工夫することで苦痛が減り、快につながることを確認することができた。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.43.2_304_1