家族と暮らす・地域で暮らす: 重症心身障害児者の在宅医療・家族支援
本シンポジウムでは、近年増加している重症心身障害児者の在宅移行に対して、楽しく家族で暮らし、地域で暮らしていくためにはどのような支援が必要かを、医師・相談支援専門員・当事者の保護者・看護師から提案していただいた。医師の紅谷氏は、在宅医療を行っているうちに ニーズに合わせたサポートの必要性を感じ各種のデイケア、生活介護を提供するオレンジキッズケアラボをたちあげ、多面的にチームと連携しながら医療ケアの必要な子どもたちの生活を支えるようになった。自院の訪問診療、訪問看護、訪問介護やケアラボ事業の連携や内容を紹介され、今後 小児在宅医療に携わる医療者は「管理する医療」から「生活を支える医療」へシフトし...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2018, Vol.43(1), pp.33-34 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 本シンポジウムでは、近年増加している重症心身障害児者の在宅移行に対して、楽しく家族で暮らし、地域で暮らしていくためにはどのような支援が必要かを、医師・相談支援専門員・当事者の保護者・看護師から提案していただいた。医師の紅谷氏は、在宅医療を行っているうちに ニーズに合わせたサポートの必要性を感じ各種のデイケア、生活介護を提供するオレンジキッズケアラボをたちあげ、多面的にチームと連携しながら医療ケアの必要な子どもたちの生活を支えるようになった。自院の訪問診療、訪問看護、訪問介護やケアラボ事業の連携や内容を紹介され、今後 小児在宅医療に携わる医療者は「管理する医療」から「生活を支える医療」へシフトしなければならないと述べられた。相談支援員の遠山氏は、特に医療デバイスを抱える児の地域生活支援に対しての問題点について述べていただいた。支援従事者がほとんど福祉職であるため医療に対する不安が大きく敬遠しがちであることや、児の支援は医療、福祉、保健、療育、教育などの異なった制度を横断的に理解しながら進めていく難しさもさらに対応する専門員や事業所を少なくさせている点を挙げていただいた。乳児期、幼児期、学童期、成人期のそれぞれのライフステージにあった、発達支援と家族支援は、バランスのとれた押しつけることのないちょうどいい量と質で医療と福祉双方が作り上げていくことであると強調された。今後は、このような配慮ができ様々な制度を理解したサービスコーディネート技術を持つ相談支援専門員の育成が必要であると述べられた。当事者の保護者である小林氏は、歩く重症心身障害児をもつ親としてお子さんの紹介をしていただいた。成長し歩けるようになった時点で重症心身障害児枠から外れたため支援が減らされ、家族が消耗していった現状から重症心身障害児者≠医療的ケア児者であり、医療的ケア児の独立した評価見直しの必要性を訴え、身体評価、知的評価に加え医療ケアの評価をいれた3つの評価基準から8分類評価を提案された。それを元にした支援体制構築と具体化施策へつなげていく行政への要望を伝えていただいた。看護師の梶原氏は、自身の20年間の地域支援や在宅医療の関わりから、主役は地域で暮らす人であり子どもそのもので、われわれ支援者もその地域で暮らす人であるので支援する側とされる側という関係ではない。支援者も子どもと家族から多くのものをいただいており、人と人との関係性の中でお互いに成長し合い、暮らしの楽しみを共有する関係であると述べました。訪問診療や訪問看護はその生活のためであり、その生活を持続させるために予防的に介入し体調を整える仕事であると伝えました。そのためには抗重力姿勢、栄養、排泄、腸内環境、触覚を育てることに着目した早期の療育が重要であると感じており、成長発達を促す早期の関わりの実践を紹介していただいた。まとめ子どもたちが成長し地域に出て行くということは、その子や家族に関わる人がさらに増えるということである。4名のシンポジストの発表を通じ、重症心身障害児者が家族と暮らす、地域で暮らすためには、医療主体でなく生活を支えるために、様々な人や職種が関わり、そしてサポートし、お互いに他職種に対するリスペクトが大切であること、ゆるくおおらかにつながり、離れたり圧力を感じさせることのない協力関係が、お互いを育てあう姿勢として大切であるということを学ばせていただいた。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.43.1_33 |