P-2-G27 家族が行う“うたうタッチケア”の効果: 低酸素脳症の青年に対する試み
目的 重症心身障害児(者)に対する音楽またはタッチケアのQOL向上への効果の先行研究は多数みられるが、うたとタッチケアを融合した効果を検証した研究はほとんどない。本研究の目的は、家族が行ううたうタッチケアの効果を唾液アミラーゼ値およびビデオ撮影による心身の変化の面から明らかにすることである。 方法 2016年8〜10月、在宅療養をしている20歳代の低酸素脳症の青年とその母親を対象に、週一回家庭訪問を行い、タッチケアのみとうたうタッチケアを交互に5回ずつ、約20分間母親が実践し、前後で親子の唾液アミラーゼ値(ニプロ唾液アミラーゼモニター)を測定した。その間ビデオ撮影をし、子の表情・開眼状況・瞬き...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2017, Vol.42(2), pp.308-308 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的 重症心身障害児(者)に対する音楽またはタッチケアのQOL向上への効果の先行研究は多数みられるが、うたとタッチケアを融合した効果を検証した研究はほとんどない。本研究の目的は、家族が行ううたうタッチケアの効果を唾液アミラーゼ値およびビデオ撮影による心身の変化の面から明らかにすることである。 方法 2016年8〜10月、在宅療養をしている20歳代の低酸素脳症の青年とその母親を対象に、週一回家庭訪問を行い、タッチケアのみとうたうタッチケアを交互に5回ずつ、約20分間母親が実践し、前後で親子の唾液アミラーゼ値(ニプロ唾液アミラーゼモニター)を測定した。その間ビデオ撮影をし、子の表情・開眼状況・瞬き・口の動き・眼球の動き・手および腕の動きを観察した。うたは、童謡・唱歌4曲を選択した。倫理的配慮は、所属大学倫理審査委員会の承認を得、対象者には文書で説明し、同意を得た。 結果 アミラーゼ値は、タッチケアのみでは親子共減少した回数2回、増加した回数2回、子が増加し親が減少した回数1回であった。うたありタッチケアでは、親子共減少した回数3回、増加した回数1回、子が増加し親が減少した回数1回であった。子はアミラーゼ値増加時、瞬き回数が増加し、閉眼時間が少ない傾向がみられた。子は実施時機嫌良く経過していた。母親はうたうことが苦手であり、緊張が強かったが、後半は子に対しリラックスさせてあげたいという気持ちを持ちながら実施していた。母親は子よりもアミラーゼ値が減少した回数が2倍であり、母親の感情やストレス状況が子に影響する傾向があった。 考察 うたいながら行うタッチケアは、タッチケアのみよりストレスを減少させ、リラックス効果をもたらしたと考えられる。本研究では青年に対し童謡・唱歌で実施したが、ストレス軽減に効果がみられた。今後は家族のみならず、看護師・介護職員・保育士等が実践し、在宅重症心身障害児(者)のQOLが向上することを期待したい。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.42.2_308_2 |