P-2-G24 心拍変動とサーモグラフィからみた口腔ケア時における重症心身障害者の反応
研究目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は、快・不快の意思表示が困難である。重症児(者)の快・不快の反応を捉えるために心拍変動による客観的評価を検討してきたが、筋緊張の強さなどから心拍変動による評価には限界があった。近年、鼻部皮膚表面温度測定が心理状態の評価に有用であることが報告されている。そこで、本研究は、鼻部皮膚温度(サーモグラフィ)と自律神経系活動から日常生活ケア(口腔ケア)時の反応を検討することを目的とした。 研究方法 1.対象者:入所中の重症児(者)3名(平均年齢27.3±3.2歳)を対象とした。2.測定方法:1)測定環境;施設内の一室を使用し他者の入室を制限した。室内環...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2017, Vol.42(2), pp.307-307 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 研究目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は、快・不快の意思表示が困難である。重症児(者)の快・不快の反応を捉えるために心拍変動による客観的評価を検討してきたが、筋緊張の強さなどから心拍変動による評価には限界があった。近年、鼻部皮膚表面温度測定が心理状態の評価に有用であることが報告されている。そこで、本研究は、鼻部皮膚温度(サーモグラフィ)と自律神経系活動から日常生活ケア(口腔ケア)時の反応を検討することを目的とした。 研究方法 1.対象者:入所中の重症児(者)3名(平均年齢27.3±3.2歳)を対象とした。2.測定方法:1)測定環境;施設内の一室を使用し他者の入室を制限した。室内環境は、風速0.5m/s以下に設定し、室温・湿度に配慮した(測定時室温:24.1±1.4℃、湿度:52.5±8.2%)。2)対象者の準備;測定まで 20分以上の馴化時間を設けた。3)日常生活ケアと体位;職員によるロ腔ケア(歯磨き)。車椅子にて実施した。3.測定指標:サーモグラフィによる鼻部皮膚温度、自律神経系活動(HR、HF、LF/HF)、行動観察。4.分析方法:ケア3分前から10分後までの1分毎のデータを、ケア直前値をBase Lineとして差を求め、その推移をみた。 結果・考察 LF/HFでは、2名がケア直後にのみ1.0〜1.5上昇していたが、1名はケア直後に1.0〜1.2上昇し2分後まで持続していた。HFは3名とも下降し、うち2名は4分後まで持続していた。鼻部皮膚温度は、1名はケア直後に1.8℃の低下がみられ、回復まで約10分を要した。また、2名はケア直後から徐々に低下し、うち1名は回復までに10分以上要した。鼻部皮膚温度は自律神経系活動による血流変化を最も反映する。ケア後の鼻部皮膚温度の方が反応は緩慢であったものの、心拍変動および鼻部皮膚温度はほぼ同様の変化を示した。このことより、重症児(者)の場合も鼻部皮膚温度での評価も可能であることが示唆された。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.42.2_307_1 |