P-1-E27 非IgE依存性食物アレルギーにより血便を来したと考えられる重症心身障害児の一例
はじめに 食物アレルギーの多くは特異的IgE抗体を介する即時型反応だが、特殊型に特異的IgE抗体の関与が証明されない非IgE依存性反応が存在する。今回私たちは、長期経管栄養管理中に非IgE依存性食物アレルギーを発症したと考えられる重症心身障害児を経験したので報告する。 症例 12歳、男児。9歳時に窒息による低酸素性脳症となり、四肢麻痺、寝たきりとなった。気管切開、喉頭気管分離術施行、胃瘻栄養管理。大島分類1。同年当センターに入所し、エンシュアH、エネーボにて栄養管理を施行。12歳1カ月時、突如血便を認め、絶食・点滴管理にて加療した。感染性腸炎やアレルギー性紫斑病、炎症性腸疾患等を疑ったが、診断...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2017, Vol.42(2), pp.241-241 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | はじめに 食物アレルギーの多くは特異的IgE抗体を介する即時型反応だが、特殊型に特異的IgE抗体の関与が証明されない非IgE依存性反応が存在する。今回私たちは、長期経管栄養管理中に非IgE依存性食物アレルギーを発症したと考えられる重症心身障害児を経験したので報告する。 症例 12歳、男児。9歳時に窒息による低酸素性脳症となり、四肢麻痺、寝たきりとなった。気管切開、喉頭気管分離術施行、胃瘻栄養管理。大島分類1。同年当センターに入所し、エンシュアH、エネーボにて栄養管理を施行。12歳1カ月時、突如血便を認め、絶食・点滴管理にて加療した。感染性腸炎やアレルギー性紫斑病、炎症性腸疾患等を疑ったが、診断には至らなかった。血便は経腸栄養剤をエレンタールに変更後消失し、エネーボを再開すると再燃した。食物アレルギーの関与を疑ったが、IgE・RIST・好酸球は正常値であった。同エピソードを繰り返したため、エネーボ・エンシュアHの薬剤リンパ球刺激試験(DLST)を提出したところ、SI値それぞれ4.0、5.1(1.8以下陰性)と2剤とも陽性であった。消化管出血の原因は、経腸栄養剤の原料の牛乳や大豆による食物アレルギーが疑われ、検査結果より非IgE依存性反応によると考えられた。エレンタールのみの栄養に変更後は、血便の再発は認めていない。 考察 同じ食物を繰り返し摂取することで、食物アレルギーになりやすく、中でも寝たきりの重症心身障害児では、胃食道逆流症のため、食物抗原に感作されやすく食物アレルギーを発症する児がいることが知られている。非IgE依存性食物アレルギーは新生児・乳児消化管アレルギーの原因で知られているが、重症心身障害児でも考慮すべきアレルギーだと考えられる。長引く消化管出血に対し、食物アレルギーを鑑別診断に入れ、即時型反応に加え、非IgE依存性反応も疑い精査する必要があると思われた。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.42.2_241_2 |