O-1-A12 家族をまるごと癒し、明日への活力を生み出すレスパイト旅行の取り組み
はじめに 自宅で暮らす重症心身障害児者と家族は、たくさんの生きづらさを抱えている。周囲の無理解に傷つき、疲弊することも多い。子どもと家族が日常生活から離れ、自然の中で一緒に楽しむことができるレスパイト旅行という取り組みがある。 方法 NPO法人「親子はねやすめ」は、2014年から毎年長野県筑北村で親子レスパイト旅行会を開催している。子どもとその家族数組がゲストとして招待され、NPOの職員と地元や企業のボランティアが手作りのおもてをする。当法人の医師、看護師をはじめとする職員も参加し、活動を支えている。家族そろっての旅行は初めてというゲストが多い。人工呼吸器などの高度な医療機器や複雑な医療ケアが...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2017, Vol.42(2), pp.163-163 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | はじめに 自宅で暮らす重症心身障害児者と家族は、たくさんの生きづらさを抱えている。周囲の無理解に傷つき、疲弊することも多い。子どもと家族が日常生活から離れ、自然の中で一緒に楽しむことができるレスパイト旅行という取り組みがある。 方法 NPO法人「親子はねやすめ」は、2014年から毎年長野県筑北村で親子レスパイト旅行会を開催している。子どもとその家族数組がゲストとして招待され、NPOの職員と地元や企業のボランティアが手作りのおもてをする。当法人の医師、看護師をはじめとする職員も参加し、活動を支えている。家族そろっての旅行は初めてというゲストが多い。人工呼吸器などの高度な医療機器や複雑な医療ケアが必要であっても、医療職を含む多くのスタッフがいるため安心して参加できる。豊かな自然の中で、子どもたちは家族とともに楽しい時間を過ごす。寂しい思いをすることが多い兄弟たちも、親が見守る中で思いっきり遊ぶことができる。親同士の交流が生まれ、苦労や喜びを共有できる。揚げたての天ぷらなど地元の美味しい食材を使った料理、温泉、心からくつろげる時間と空間がそこにある。優しい気遣いをしてくれる人々と自然に囲まれ、子どもと家族にたくさんの笑顔が生まれる。その笑顔は周りの人々に大きな喜びと感動をもたらす。日頃から在宅医療に携わるスタッフも、普段は見過ごしがちな家族の思いや日常の不自由さに気づかされ、自分たちの仕事の意味を改めて認識することができる。 考察 病気や障害をもつ子どもの家族には常に医療ケアを担う緊張感があり、家族全員で行動するという当たり前のことが想像以上に困難である。レスパイト旅行では普段の緊張感から解放され、家族がストレスなく一緒に過ごすことができる。その体験は身体と心を癒し、明日への活力を生み出す。この取り組みを多くの人に知っていただき、活動の輪が広がっていくことを願っている。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.42.2_163_2 |