P-2-G07 腹臥位への姿勢変換機能付き車椅子の紹介

はじめに重症心身障害児者は嚥下機能の障害に伴い呼吸機能の低下を来す。気道クリアランスや呼吸困難の軽減、肺許容量・ガス交換の改善、下側肺障害や褥瘡予防などのためには体位変換が重要となる。しかし、成長し身体的に大きく体重が重くなると、特に腹臥位姿勢への変換が困難となる。今回、成長しても利用しやすい腹臥位保持装置付き車椅子の製作を試みたので、その概要と使用状況について紹介する。構造と仕様本車椅子は仮合わせを繰り返し、ティルト角度を後傾10度〜前傾50度、リクライニング角度を90〜140度とした。前方ティルト後の後傾操作を容易にするため、体重補完用に電動アシスト機構を取り付けた。前輪(キャスター)は5...

Ausführliche Beschreibung

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2016, Vol.41(2), pp.320-320
Hauptverfasser: 森井, 和枝, 沖川, 悦三, 村田, 知之, 辻村, 和見, 松田, 健太, 長谷川, 玄哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに重症心身障害児者は嚥下機能の障害に伴い呼吸機能の低下を来す。気道クリアランスや呼吸困難の軽減、肺許容量・ガス交換の改善、下側肺障害や褥瘡予防などのためには体位変換が重要となる。しかし、成長し身体的に大きく体重が重くなると、特に腹臥位姿勢への変換が困難となる。今回、成長しても利用しやすい腹臥位保持装置付き車椅子の製作を試みたので、その概要と使用状況について紹介する。構造と仕様本車椅子は仮合わせを繰り返し、ティルト角度を後傾10度〜前傾50度、リクライニング角度を90〜140度とした。前方ティルト後の後傾操作を容易にするため、体重補完用に電動アシスト機構を取り付けた。前輪(キャスター)は5インチ、後輪は12インチとし、全長は約1050mm、全幅は約780mmのサイズとなった。対象および使用状況対象者はレノックス・ガストー症候群、18歳、女性、身長150cm、体重48.5kgであった。身体機能は嚥下機能の低下により1時間に数回の吸引が必要であり、栄養摂取は胃瘻にて実施していた。本車椅子への乗車方法は、先ず後方ティルトした状態で移乗させ胸当てをセットする。その後、状態をみながら前方ティルトしていく。前傾後はサチュレーションも良好であり、以前から希望していたハンドサッカーにも参加できるようになった。結語体位変換は身体機能を良好に維持するために欠くことができない。特に自ら体位を変えることのできない重症心身障害児者にとっては、とても重要かつ必要な介護行為となる。容易に腹臥位姿勢がとれる車椅子は、介護者の負担を軽減するとともに、重症心身障害児者の活動範囲を拡大し積極的な社会参加を支える基盤となるであろう。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.41.2_320_2