P-2-G06 重症心身障害児者における吃逆: 対処・治療方法とその選択
はじめに重症心身障害児者では、さまざまな原因で吃逆反射が誘発され、ときに長時間持続して睡眠障害や体重減少などQOLの低下を招くことがある。今回、吃逆に対して治療を施行した症例についてまとめ、治療方法とその選択に関して文献的考察を加えて検討した。対象2016年5月までに当センター外来または入所利用者のうち持続する吃逆に対して治療を施行した8人(全例男性)。基礎疾患は脳性麻痺が2例、低酸素性脳症後遺症が2例、神経変性疾患が2例、頭部外傷後遺症が1例、重度精神遅滞が1例だった。大島分類は全例1で、6例で胃食道逆流症を合併していた。結果全例で薬物治療が試行され、7例でバクロフェン(1包0.08〜0.2...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2016, Vol.41(2), pp.320-320 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | はじめに重症心身障害児者では、さまざまな原因で吃逆反射が誘発され、ときに長時間持続して睡眠障害や体重減少などQOLの低下を招くことがある。今回、吃逆に対して治療を施行した症例についてまとめ、治療方法とその選択に関して文献的考察を加えて検討した。対象2016年5月までに当センター外来または入所利用者のうち持続する吃逆に対して治療を施行した8人(全例男性)。基礎疾患は脳性麻痺が2例、低酸素性脳症後遺症が2例、神経変性疾患が2例、頭部外傷後遺症が1例、重度精神遅滞が1例だった。大島分類は全例1で、6例で胃食道逆流症を合併していた。結果全例で薬物治療が試行され、7例でバクロフェン(1包0.08〜0.20mg/kg、効果あり1、やや効果あり4、効果2)が、3例でクロルプロマジン(1包0.24〜0.36mg/kg、全例効果あり)が使用され、他にクロナゼパム、ジアゼパムの使用が各1例で、それぞれ効果は無かった。胃食道逆流症の治療では、プロトンポンプ阻害剤やH2ブロッカーの定時内服には効果が認められず、1例で噴門形成術により吃逆が消失し、1例で胃食道逆流症の改善に伴い吃逆の回数が減少した。漢方薬などその他の薬剤の使用はなかった。考察吃逆反射の求心路は舌咽神経咽頭枝や迷走神経・横隔神経および交感神経で、中枢は延髄背側の疑核腹外側部分の網様体にあり、視床下部などの上位中枢の抑制を受ける。薬物治療としてはクロルプロマジンに保険適応があり、GABA作動薬であるバクロフェンが反射に抑制的に作用すると言われている。重症心身障害児者では咽頭への刺激、胃食道逆流症や胃拡張、肺炎・胸膜炎などによる横隔膜への刺激などによって吃逆反射が誘発され、その誘因によって治療方法の選択肢も異なったものになると考えられる。吃逆の持続によってQOLが低下することもあり、薬剤の副作用なども考慮した適切な治療を行う必要がある。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.41.2_320_1 |