P-2-F12 当事者と行う災害避難訓練の意義
はじめに当院は重症心身障害や難病による障害者医療に特化した施設で、多くの患者は常に医療処置を必要とする。特に災害弱者である在宅重症心身障害者は、大規模災害では自治体の災害時個別支援計画が十分機能せず、救助や支援から取り残される可能性もあり、災害時の安全確保と保護は大きな課題である。また当院の通所サービス利用者家族にも、災害時には家族が様々な困難に対応せねばならないという「当事者意識」があった。そこで当事者とともに災害避難訓練を計画・実施し、その過程を振り返り、意義や課題を考察する。方法震度6強の地震発災を想定し、訓練には2名の患児(人工呼吸器装着例と気管切開状態例)とその母親、行政機関、患者会...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2016, Vol.41(2), pp.309-309 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | はじめに当院は重症心身障害や難病による障害者医療に特化した施設で、多くの患者は常に医療処置を必要とする。特に災害弱者である在宅重症心身障害者は、大規模災害では自治体の災害時個別支援計画が十分機能せず、救助や支援から取り残される可能性もあり、災害時の安全確保と保護は大きな課題である。また当院の通所サービス利用者家族にも、災害時には家族が様々な困難に対応せねばならないという「当事者意識」があった。そこで当事者とともに災害避難訓練を計画・実施し、その過程を振り返り、意義や課題を考察する。方法震度6強の地震発災を想定し、訓練には2名の患児(人工呼吸器装着例と気管切開状態例)とその母親、行政機関、患者会、訪問介護・看護事業所等在宅療養者に関わる職員も参加した。想定した災害によって、「自宅にとどまり安全を確保する」班と「自宅での安全確保が難しく病院に避難する」班とに分けた。訓練前までは座学とディスカッションによる避難行動における学習会を行い、訓練当日にはそれぞれの場所に職員を配置し、避難行動に関する知識と注意点、具体的な行動について指導しながら記録した。同時に病院では本部を設置、入院患者の安全と在宅療養者の情報収集や受け入れ体制を整える体験を行った。結果実施後の振り返りでは、当事者・母親は体験を通して訓練し、避難のイメージが持てた、病院は入院患者と在宅患者の安全を守る方法と体制作りの課題を整理できた、参加した機関は災害時の役割について考えるきっかけとなった等の意見が聞かれた。考察とまとめ地震災害を想定した避難訓練を当事者と病院および関係者で計画し実施した。災害時に最初の安全を確保する主体は当事者および家族であり、病院スタッフだけでなく当事者も参加できる訓練機会を設けることは有意義であった。次回以降はこれまでの経験をもとに参加者へのアンケートを行い、より質の高い訓練について検討したい。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.41.2_309_1 |