P-2-E06 呼吸リハビリテーションの継続により全身状態の改善を認めた重症心身障害者

はじめに重症心身障害児(者)は異常な筋緊張を基盤に変形・拘縮を来し、呼吸機能の低下を合併することがある。これらに対し、当センターでは胸郭の可動性維持・改善のため蘇生バックを使用した用手陽圧換気(以下、バギング)や徒手的な呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)を実施している。今回、1年間を通して呼吸リハを実施した結果、全身状態の改善につながり、QOLが向上した1症例を経験したので報告する。対象18歳男性。成長とともにS字状の脊柱側弯変形・胸郭扁平化が進行し、発熱・肺炎により入退院を繰り返していた。CT画像所見から右肺実質・右気管支が弯曲した脊柱に圧迫され扁平化していた。また、聴診による呼吸音の...

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Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2016, Vol.41(2), pp.294-294
Hauptverfasser: 有馬, 彩水, 澤田, 一美, 山下, 晃功
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに重症心身障害児(者)は異常な筋緊張を基盤に変形・拘縮を来し、呼吸機能の低下を合併することがある。これらに対し、当センターでは胸郭の可動性維持・改善のため蘇生バックを使用した用手陽圧換気(以下、バギング)や徒手的な呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)を実施している。今回、1年間を通して呼吸リハを実施した結果、全身状態の改善につながり、QOLが向上した1症例を経験したので報告する。対象18歳男性。成長とともにS字状の脊柱側弯変形・胸郭扁平化が進行し、発熱・肺炎により入退院を繰り返していた。CT画像所見から右肺実質・右気管支が弯曲した脊柱に圧迫され扁平化していた。また、聴診による呼吸音の左右差(右<左)があり、自発運動に乏しく自立座位保持困難で、GMFCSVレベルであった。方法徒手的な呼吸リハを施行し、右胸郭に対し胸郭拡張手技を用い、左胸郭を徒手的に圧迫しバギングを行った。効果判定評価方法としては、1.腋窩両端を結ぶ周径、2.剣上突起を中心とした周径、3.肋骨下縁を結ぶ周径を吸気時と呼気時の差(胸郭拡張差)を計測し、スパイロメーターによる1回換気量・分時換気量の計測を縦断的に評価した。また、日常生活における全身状態の経時的変化を母より情報収集した。平成27年4月から平成28年3月までの1年間を検証対象期間とした。結果評価項目において、著明な変化は認められなかった。長期的な効果として、聴診による呼吸音の改善、37.0℃以上の発熱回数の減少、入院回数減少など全身状態の改善を認めた。考察今回の呼吸リハによる改善効果を客観的に数値化することは出来なかったが、継続により全身状態の改善につながり、QOLが向上したのではないかと考える。まとめ1症例の経時的な変化を確認し、成長期の側弯進行と平行して呼吸機能の低下が確認された。この経験により、呼吸機能の低下を予想して呼吸リハを開始する必要性が考えられた。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.41.2_294_1