P-2-E18 就学前重症児の発達保障に関する親の意識について: 就学前後のインタビュー調査から
目的近年の重症心身障害児(以下、重症児)の増加に伴い、乳幼児期からの生活支援や発達援助のための体制づくりが急速に進められてきているが、児の発達保障については親の意識がより重要な問題と思われる。沼口(2005)は、重症児の家族は病気や障害が心配なあまり「子どもを育てる」という視点を見落としてしまっている可能性を述べている。本研究では、就学前重症児の親へのインタビューより、児の発達保障に関する意識を調査した。さらに、就学後の意識変容について調査し、就学前重症児を持つ親への支援について考察した。方法1年以上の入院経験のある就学前重症児(事例ABC)の父親あるいは母親で、本研究への参加に同意が得られた...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2015, Vol.40(2), pp.319-319 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的近年の重症心身障害児(以下、重症児)の増加に伴い、乳幼児期からの生活支援や発達援助のための体制づくりが急速に進められてきているが、児の発達保障については親の意識がより重要な問題と思われる。沼口(2005)は、重症児の家族は病気や障害が心配なあまり「子どもを育てる」という視点を見落としてしまっている可能性を述べている。本研究では、就学前重症児の親へのインタビューより、児の発達保障に関する意識を調査した。さらに、就学後の意識変容について調査し、就学前重症児を持つ親への支援について考察した。方法1年以上の入院経験のある就学前重症児(事例ABC)の父親あるいは母親で、本研究への参加に同意が得られた3名を対象に、半構造化面接によるインタビュー調査を実施した。インタビュー内容は、子どもの発達、反応の捉え、子どもへの思い、教育の必要性であった。調査時、事例Aは在宅児、事例BCは病院に入院中であった。事例BCの親については、児の就学から7〜8カ月後に追跡調査を実施した。なお、事例Bは就学直前に療養施設に入所となった。結果と考察事例Aの親の発言では抽出数の43%が肯定的内容であったが、事例BCでは20〜30%と少なくなった。事例Aは在宅児であったことから親が児の発達を実感できたためと考えられる。事例BCは、病院での限られた関わりの中で、親が児の発達を肯定的に意識することが難しい現状が考えられた。しかし、就学後の事例BCの追跡調査では、肯定的内容が顕著に増加し、2事例の親とも抽出数の50%以上が肯定的内容になった。就学したことで関わる人も変化し、児の発達を意識できる機会が増えた影響と考えられた。結論親は子どもが育つ過程をイメージできる状況に置かれることで、子どもの発達を考えることができてゆくのではないかと思われた。就学前重症児をもつ親への重要な支援の一つといえる。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.40.2_319_2 |