O-2-A01 嚥下障害に対するアプローチ:腕頭動脈瘻回避を目指した声門閉鎖術と治療成績
はじめに重度脳神経障害児の嚥下障害に対して、一般的には喉頭気管分離術(LTS)が行われている。術後に患者家族のQOLが上昇する一方で、気管腕頭動脈瘻(TIF)といった致命的な合併症が報告されている。また、術後施設や在宅で管理されるようになり、事故抜管や肉芽形成など合併症のリスクが、医療従事者や介護者にとって負担になっている。われわれは、TIFを回避するために術式を変更し声門閉鎖術(SCL)を取り入れた。術式の紹介と治療成績について報告する。対象2008年から2014年までに 嚥下障害手術を施行した25例。SCLの術式輪状・甲状軟骨を鉗除し、軟骨膜を仮声帯の高さまで切開。声帯を上下に切開し、左右...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2015, Vol.40(2), pp.233-233 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | はじめに重度脳神経障害児の嚥下障害に対して、一般的には喉頭気管分離術(LTS)が行われている。術後に患者家族のQOLが上昇する一方で、気管腕頭動脈瘻(TIF)といった致命的な合併症が報告されている。また、術後施設や在宅で管理されるようになり、事故抜管や肉芽形成など合併症のリスクが、医療従事者や介護者にとって負担になっている。われわれは、TIFを回避するために術式を変更し声門閉鎖術(SCL)を取り入れた。術式の紹介と治療成績について報告する。対象2008年から2014年までに 嚥下障害手術を施行した25例。SCLの術式輪状・甲状軟骨を鉗除し、軟骨膜を仮声帯の高さまで切開。声帯を上下に切開し、左右の声帯粘膜を縫合し上下の粘膜弁で閉鎖。粘膜弁の間を胸骨舌骨筋弁で充填。輪状軟骨の高さで気管切開孔を作成。結果カニューレフリーは、LTS15例中2例、SCL10例中7例。CT検査では、気管口腕頭動脈間距離がLTS 43mm、SCL 59mm、腕頭動脈の高さの皮膚−気管間距離と胸骨−椎体間距離に差はなかった。気管支鏡検査はLTS 9例中、狭窄1例、肉芽形成5例。SCL 3例中、術前からの狭窄所見が1例。死亡例はLTSの5例。考察LTSはカニューレフリーが難しく、肉芽形成、狭窄、呼吸不全あるいは出血を来す危険性がある。SCLは甲状腺を離断せず、気管切開孔が高い位置に保ち得ると考えられる。カニューレフリーの症例が多く、気管孔から腕頭動脈までの距離が長いため、TIFリスクが回避できる可能性がある。今後、成長や原疾患の進行に伴う変化についてさらに経過観察が必要である。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.40.2_233_1 |