O-1-G15 重症心身障害者において骨密度と脊椎側弯症とには関連性があるか: 脊椎側弯症の基礎的研究
背景重症心身障害者(以下、重症者)では、骨密度の低下や脊椎側弯症を呈する症例が多い。骨密度低下は骨折のリスクを引き上げ、脊椎側弯症重症化は内臓機能障害を来すこととなり、重症者のケアやQOLの観点から問題となっている。思春期特発性側弯症(AIS)と診断された女児では、その半数以上が骨密度の低下を指摘されるという報告があるが、重症者についての報告はない。目的今回、当園の成人重症者における骨密度と脊椎側弯症の関連性を調べることを目的とした。方法当園入所中の20〜40歳代の重症者22名(男性13名:22〜47歳、女性9名:25〜45歳)を対象とした。骨密度(BMD値)はDIP法にて、脊椎側弯症重症度は...
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Veröffentlicht in: | 日本重症心身障害学会誌 2015, Vol.40(2), pp.221-221 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景重症心身障害者(以下、重症者)では、骨密度の低下や脊椎側弯症を呈する症例が多い。骨密度低下は骨折のリスクを引き上げ、脊椎側弯症重症化は内臓機能障害を来すこととなり、重症者のケアやQOLの観点から問題となっている。思春期特発性側弯症(AIS)と診断された女児では、その半数以上が骨密度の低下を指摘されるという報告があるが、重症者についての報告はない。目的今回、当園の成人重症者における骨密度と脊椎側弯症の関連性を調べることを目的とした。方法当園入所中の20〜40歳代の重症者22名(男性13名:22〜47歳、女性9名:25〜45歳)を対象とした。骨密度(BMD値)はDIP法にて、脊椎側弯症重症度は胸腹部の単純X線撮影像からのCobb角値を測定した。BMD値とCobb角値はほぼ同期の値を対データとし、2013〜2014年において延べ44件(男性:26件、女性18件)をretrospectiveに抽出した。これら44件のデータを男女に分け、縦軸にCobb角値を横軸にBMD値をとった分散図を作成し、最小二乗法にて相関係数を算出した。結果男性延べ26件では、相関係数-0.162で弱い負の相関を示した。また、女性延べ18件では、相関係数-0.648で強い負の相関を示した。考察成人重症者では、骨密度低下と脊椎側弯症との関連性が示唆された。既報ではAISでのBMD値とCobb角値との相関性がない一方で、一般的にエステロゲンが骨形成作用を有すること、AISの進行期において血漿メラトニン値が低下することを示しており、これらの関連性は不明としている。今回の結果において特に女性重症者でのBMD値とCobb角値との強い相関性は、重症者に多いとされるメラトニン分泌低下がエステロゲン分泌能に影響を与え、二次的にBMD値とCobb角値を変動させた可能性が考えられる。結語成人重症者における骨密度と脊椎側弯症との間には相関性が認められ、骨密度低下と脊椎側弯症が合併しやすいことを示唆した。 |
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ISSN: | 1343-1439 2433-7307 |
DOI: | 10.24635/jsmid.40.2_221_1 |