O-1-G12 反復する血尿を契機に膀胱腫瘍がみつかった副腎白質ジストロフィーの1例

はじめに膀胱癌は一般集団で65歳前後に多く、初発症状は無症候性血尿が最も多い。一方、重症心身障害者(以下、重症者)は膀胱炎、尿路結石などの泌尿器科的合併症が多く、血尿がよく見られる。当院では、重症者の泌尿器科的合併症の評価目的に2014年度から1年毎に腹部超音波による定期評価を行っている。 症例37歳男性、7歳までの発達に明らかな問題。7歳10カ月時、発熱に伴いけいれん重積あり。その後、転倒しやすくなり、徐々に視力低下、難聴、視野障害、性格変化あり。8歳4カ月時に極長鎖脂肪酸分析より副腎白質ジスロトフィーと診断。その後、知的退行、運動機能低下が進行して出現した。現在、重度知的障害、痙性四肢麻痺...

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Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2015, Vol.40(2), pp.219-219
Hauptverfasser: 澁谷, 郁彦, 元木, 崇裕, 本橋, 裕子, 竹下, 絵里, 石山, 昭彦, 斎藤, 貴志, 小牧, 宏文, 中川, 栄二, 須貝, 研司, 佐々木, 征行
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに膀胱癌は一般集団で65歳前後に多く、初発症状は無症候性血尿が最も多い。一方、重症心身障害者(以下、重症者)は膀胱炎、尿路結石などの泌尿器科的合併症が多く、血尿がよく見られる。当院では、重症者の泌尿器科的合併症の評価目的に2014年度から1年毎に腹部超音波による定期評価を行っている。 症例37歳男性、7歳までの発達に明らかな問題。7歳10カ月時、発熱に伴いけいれん重積あり。その後、転倒しやすくなり、徐々に視力低下、難聴、視野障害、性格変化あり。8歳4カ月時に極長鎖脂肪酸分析より副腎白質ジスロトフィーと診断。その後、知的退行、運動機能低下が進行して出現した。現在、重度知的障害、痙性四肢麻痺あり大島分類1。気管開窓術後で自発呼吸はあり経鼻胃管栄養中である。尿検査は年に1−3回の頻度で施行されていたが33歳時までは異常。34歳頃から血尿を認めるようになり、36歳までの間に尿沈査法で赤血球5−9個/HPFを3 回、10−19個/HPFを1回、21−30個/HPFを2回、31−50個/HPFを1回認めた。尿中に多数の白血球も伴っていたため尿路感染症と考え経過観察された。37歳時の定期検査で尿潜血(+−)、沈渣法で赤血球1−4個/HPFであり、初めて施行された腹部超音波検査で膀胱内に2cm大の腫瘤が見つかった。尿細胞診でclass3、膀胱内視鏡検査を施行し、膀胱腫瘍と診断。今後、経尿道的膀胱腫瘍切除術を予定している。考察本症例は反復的な血尿を認め、定期検査の腹部超音波検査を契機に診断に至った。膀胱癌は切除すれば予後良好なものがあり早期発見が重要である。重症者では比較的頻度が高い血尿についても、反復・持続してみられる場合には、膀胱癌を鑑別に入れて検査をすべきである。謝辞本症例の診療、ご助言をいただきました東大和病院、泌尿器科の山田泰史先生に深謝いたします。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.40.2_219_2