P-2-E36 就学前の重症心身障害児に対して「家庭での訪問療育」を行って見えてきたこと

はじめに重い障害がある子どもに早期療育の必要性が認められ、就学前に多くの子どもが療育施設や保育園などに通っている。しかし、医ケアや家庭事情等のために家庭の外に出られず、学齢期を迎えるまで療育の機会がない子どもたちもいる。そうした子どもたちに療育の機会を与えたいという願いから、退職した特別支援学校教員等が訪問介護事業所の協力を得て、2012年12月より訪問療育を行ってきた。その事例の考察を通して訪問療育の必要性を考えたい。事例1.児童Aのケース 3歳児。呼吸器装着。未定頸。指先は随意的に動かせる。2013年1月から月2回の訪問療育を行っている。保護者は学校に入るまでに文字・数の基礎学習をさせたい...

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Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2014, Vol.39(2), pp.324-324
Hauptverfasser: 角田, 隆子, 加藤, はる江, 北風, なおみ, 岡田, あつ子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに重い障害がある子どもに早期療育の必要性が認められ、就学前に多くの子どもが療育施設や保育園などに通っている。しかし、医ケアや家庭事情等のために家庭の外に出られず、学齢期を迎えるまで療育の機会がない子どもたちもいる。そうした子どもたちに療育の機会を与えたいという願いから、退職した特別支援学校教員等が訪問介護事業所の協力を得て、2012年12月より訪問療育を行ってきた。その事例の考察を通して訪問療育の必要性を考えたい。事例1.児童Aのケース 3歳児。呼吸器装着。未定頸。指先は随意的に動かせる。2013年1月から月2回の訪問療育を行っている。保護者は学校に入るまでに文字・数の基礎学習をさせたい希望がある。そこで、基礎の力である選択学習や絵本読みから開始。瞳の動きで選択をするなど、要望を伝える力を育てている。また、紙ちぎりなどの五感を使う遊びも取り入れている。御家族の育児へのヒントも提供している。2.児童Bのケース 4歳児。呼吸器装着。自力ではほとんど体を動かせない。2013年7月から月1回の訪問療育(歌遊び、楽器遊び、絵本読みなど)を行っている。療育を通し、働きかけをすると、瞳が上や左方向に動くようになった。以前は「脳波は平坦。外部の刺激の受けとめは難しい」との診断であったが、療育開始4カ月後の脳波検査では大小の波形が見られ、「療育の様々な活動が刺激になっているのではないか」と保護者は喜んでいる。考察療育施設に通えない重い障害がある子どもは、刺激を受ける機会が少ない。保護者も外部との交流が少なく、子どもとの関わり方や表情の読み取り方などに困っている。今回の訪問療育では、どの子どもも、子ども自身の変化(表情がはっきりした、コミュニケーションの力が育ったなど)が見られた。また、療育を通して子どもの成長を共に喜ぶ母親の姿がある。就学前の子どもに対してこのような療育は不可欠であると実感している。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.39.2_324_2