P-2-E23 腎機能障害のある重症心身障害児の免疫抑制剤の治療の1例

はじめに腎機能障害のある重症心身障害児が発症した再生不良性貧血に対し、免疫抑制剤の治療を行ったので報告する。患者背景原因不明の重度精神発達遅滞(脳回形成不全・多発奇形)の24歳女性、両腎髄質石灰化と腎萎縮がある。10年前より当センター外来にてfollowしている。現病歴19歳よりHbの低下がみられ、22歳には血小板、好中球の低下に加え、生理時の出血量も多くなった。薬剤性は否定され、汎血球減少も進行したことから、骨髄造血障害/骨髄増殖疾患を疑った。血液内科に受診したところ、根治治療は困難であるため、リスクのある骨髄穿刺はせずに輸血中心の治療をするように勧められたが、家族の治療継続の希望は強かった...

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Veröffentlicht in:日本重症心身障害学会誌 2014, Vol.39(2), pp.318-318
Hauptverfasser: 倉本, 敦夫, 渥美, 聡, 猪狩, 真子, 阿部, 和史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに腎機能障害のある重症心身障害児が発症した再生不良性貧血に対し、免疫抑制剤の治療を行ったので報告する。患者背景原因不明の重度精神発達遅滞(脳回形成不全・多発奇形)の24歳女性、両腎髄質石灰化と腎萎縮がある。10年前より当センター外来にてfollowしている。現病歴19歳よりHbの低下がみられ、22歳には血小板、好中球の低下に加え、生理時の出血量も多くなった。薬剤性は否定され、汎血球減少も進行したことから、骨髄造血障害/骨髄増殖疾患を疑った。血液内科に受診したところ、根治治療は困難であるため、リスクのある骨髄穿刺はせずに輸血中心の治療をするように勧められたが、家族の治療継続の希望は強かった。蛋白同化ステロイド単独では効果が不十分であったため、ネオーラル液®(以下、CyA)の併用することとなった。経過CyA開始にあたりGFRおよびシスタチンCにて腎機能を再評価した。また、経鼻胃管(10Fr)による投与のため、胃への刺激減少と経管への吸着減少を目的にCyAと流動栄養とを混合して投与することとした。CyA血中濃度とクレアチニン値を観察し、クレアチニン値上昇時に血中濃度の上昇を見た。腎機能はCyAによりかなり影響を受けやすいと判断し、クレアチニン値を継続的に観察し、クレアチニン値上昇時には減量・休薬し、クレアチニンの低下に合わせ再開した。考察アゾール系抗真菌剤の併用によりCyAの吸収は高くなるが、本症例では血中濃度は上がりにくく、経管への吸着の影響が考えられた。また、至適濃度維持中、CyA投与による腎機能の低下がみられ、投与量の頻回な調整が必要であったが、CyA投与により血球コントロールは効果的であった。
ISSN:1343-1439
2433-7307
DOI:10.24635/jsmid.39.2_318_1