経鼻胃管留置が一因と考えられた放射線性喉頭壊死の1例

経鼻胃管の長期留置は喉頭壊死のリスクを高めることが報告されている。今回,下咽頭癌・頸部食道癌への化学放射線療法中に,経鼻胃管を留置し喉頭壊死を来たした1症例を経験したので報告する。症例は71歳男性,下咽頭癌・頸部食道癌に対して化学放射線療法を開始するも,高度の咽頭粘膜炎により経鼻胃管を留置した。その後も嚥下障害は遷延し,下咽頭粘膜に経鼻胃管の走行に沿った潰瘍を認めた。経鼻胃管を抜去し回復傾向にあったが,声帯麻痺が出現し喉頭壊死と診断,咽喉頭摘出術を施行した。病理組織学的所見では咽喉頭領域に癌の再発は認めなかった。化学放射線療法による高度の粘膜炎と長期の経鼻胃管留置がその発症に影響したと考えられ...

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Veröffentlicht in:頭頸部癌 2018, Vol.44(3), pp.321-325
Hauptverfasser: 森本, 寛基, 新井, 啓仁, 木下, 翔太, 吉村, 佳奈子, 光田, 順一, 森, 大地, 竹中, まり, 辻川, 敬裕, 平野, 滋
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:経鼻胃管の長期留置は喉頭壊死のリスクを高めることが報告されている。今回,下咽頭癌・頸部食道癌への化学放射線療法中に,経鼻胃管を留置し喉頭壊死を来たした1症例を経験したので報告する。症例は71歳男性,下咽頭癌・頸部食道癌に対して化学放射線療法を開始するも,高度の咽頭粘膜炎により経鼻胃管を留置した。その後も嚥下障害は遷延し,下咽頭粘膜に経鼻胃管の走行に沿った潰瘍を認めた。経鼻胃管を抜去し回復傾向にあったが,声帯麻痺が出現し喉頭壊死と診断,咽喉頭摘出術を施行した。病理組織学的所見では咽喉頭領域に癌の再発は認めなかった。化学放射線療法による高度の粘膜炎と長期の経鼻胃管留置がその発症に影響したと考えられた。本症例のように照射範囲が広い場合,食事量低下により経管栄養による代替栄養が必須となるため,今後は照射前に胃瘻造設を施行することが望ましいと考察した。
ISSN:1349-5747
1881-8382
DOI:10.5981/jjhnc.44.321