大規模交通事故の負傷者と共に生きる家族の発災直後から現在までの経験

「要約」本研究の目的は, 大規模交通事故の負傷者と共に生きる家族の発災直後から現在までの経験を明らかにし, 負傷者の家族へのケアや支援体制の構築について示唆を得ることである. JR福知山線脱線事故の負傷者と共に生活していた家族員6名に半構成的面接を行い, 質的記述的に分析した. 結果, 大規模交通事故の負傷者と共に生きる家族の経験として, 【状況が分からないなかでも, 生きている・帰ってくると信じ対応する】, 【自分達の生活にも配慮しながら, 家族が一丸となって危機を乗り越えようとする】, 【事故の記憶から距離を置くことで自分や家族を守る】, 【負傷者の身に起きた出来事を家族の出来事として共有...

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Veröffentlicht in:高知女子大学看護学会誌 2018-06, Vol.43 (2), p.81-90
1. Verfasser: 野島真美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要約」本研究の目的は, 大規模交通事故の負傷者と共に生きる家族の発災直後から現在までの経験を明らかにし, 負傷者の家族へのケアや支援体制の構築について示唆を得ることである. JR福知山線脱線事故の負傷者と共に生活していた家族員6名に半構成的面接を行い, 質的記述的に分析した. 結果, 大規模交通事故の負傷者と共に生きる家族の経験として, 【状況が分からないなかでも, 生きている・帰ってくると信じ対応する】, 【自分達の生活にも配慮しながら, 家族が一丸となって危機を乗り越えようとする】, 【事故の記憶から距離を置くことで自分や家族を守る】, 【負傷者の身に起きた出来事を家族の出来事として共有する】, 【同じ境遇の仲間との関わりの中で共通点を探し, 立ち上がるきっかけを掴む】, 【家族会に参加し社会への活動として広げる】, 【ストレスを抱えながら加害者企業との交渉や家族会の活動を行う】, 【社会に戻れるように後押しして共に歩む】, 【事故を人生の節目だと前向きに捉える】, 【生き残った者・家族としての思いと使命を受け止め, 生かされているということに感謝して生きていく】, 【危機を乗り越えることで自分自身が成長し, 家族も成長と再構築を繰り返し再出発する】の11のテーマが明らかとなった. これらのテーマから, 災害看護実践への示唆として, 「事故後の家族のプロセスと心身の準備性に即したケア」と「家族が孤立しないための支援」を得た.
ISSN:1345-0433