超分子重合を利用した人工酸素運搬体の構築

「和文抄録」タンパク質の特異的相互作用をモノマーユニット同士の会合に利用して超分子ポリマーを構築する研究が, 近年盛んに行われている. 著者らは安定なα2β2四量体構造を形成するヘモグロビン(Hb)のサブユニット間相互作用が超分子ポリマーの構築に利用できると着想し, Hbのβサブユニット同士を長く柔軟なPEG鎖を介して結合することにより環状モノマーを合成し, 高濃度で開環重合させることでHbとPEGが交互に配列された鎖状の超分子ポリマーを構築した. Hb-PEG環状モノマーとHb-PEG超分子ポリマーは濃度に応じて交換が可能な平衡状態にある. 部位選択的にβサブユニット間を架橋する架橋剤を用い...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:人工血液 2021-09, Vol.29 (1), p.50-56
Hauptverfasser: 松平崇, 山本惠三, 酒井宏水
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「和文抄録」タンパク質の特異的相互作用をモノマーユニット同士の会合に利用して超分子ポリマーを構築する研究が, 近年盛んに行われている. 著者らは安定なα2β2四量体構造を形成するヘモグロビン(Hb)のサブユニット間相互作用が超分子ポリマーの構築に利用できると着想し, Hbのβサブユニット同士を長く柔軟なPEG鎖を介して結合することにより環状モノマーを合成し, 高濃度で開環重合させることでHbとPEGが交互に配列された鎖状の超分子ポリマーを構築した. Hb-PEG環状モノマーとHb-PEG超分子ポリマーは濃度に応じて交換が可能な平衡状態にある. 部位選択的にβサブユニット間を架橋する架橋剤を用いることでα2β2四量体構造を固定し, 分子量が約1MDa(重合度13)の鎖状Hb-PEG交互重合ポリマーを構築することに成功した. これは, 超分子重合を利用して構造制御された重合Hbを合成する新しいアプローチ法である. 本稿では, Hbを構成単位に持つ超分子ポリマーを合成するための設計戦略, Hb-PEG超分子ポリマーの構築, 共有結合により固定されたHb-PEGポリマーの人工酸素運搬体としての性質, および超分子開環重合平衡の熱力学的解析の結果を紹介する.
ISSN:1341-1594