NADHとヘモグロビンの共存による抗酸化的な擬似酵素活性と人工赤血球への応用

「和文抄録」オキシヘモグロビン(HbO2)が自動酸化によりメト化し, 次第に酸素結合機能が低下することは, ヘモグロビン(Hb)を用いる人工酸素運搬体の開発において共通の課題である. 著者らは, Hb溶液に等モル濃度以上の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を添加した場合にメト化が大幅に抑制されることを見出した. また, NADHはHbの自動酸化速度を低下させるだけでなく, メト化を進行させる酸化剤(H2O2, NO, NaNO2)の添加に対しても同様にメト化を抑制することも判明した. これらの現象は, NADHとHbが共存したときに極めて高い擬似カタラーゼ活性と擬似スーパー...

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Veröffentlicht in:人工血液 2020-11, Vol.28 (1), p.49-56
Hauptverfasser: 山田孫平, 松平崇, 山本惠三, 酒井宏水
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「和文抄録」オキシヘモグロビン(HbO2)が自動酸化によりメト化し, 次第に酸素結合機能が低下することは, ヘモグロビン(Hb)を用いる人工酸素運搬体の開発において共通の課題である. 著者らは, Hb溶液に等モル濃度以上の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を添加した場合にメト化が大幅に抑制されることを見出した. また, NADHはHbの自動酸化速度を低下させるだけでなく, メト化を進行させる酸化剤(H2O2, NO, NaNO2)の添加に対しても同様にメト化を抑制することも判明した. これらの現象は, NADHとHbが共存したときに極めて高い擬似カタラーゼ活性と擬似スーパーオキシドディスムターゼ活性を示すことに起因することがわかった. NADHを内包した人工赤血球を調製したところ, 著しいメト化抑制の効果がみられた. 本稿では, NADHがメト化を抑制するメカニズムについて, Lineweaver-Burkプロット, 自動酸化の中間体のHPLC分析, 31P NMR, HbとNADHのドッキングシミュレーションにより検討し, HbのαサブユニットとNADHの相互作用がメト化抑制に寄与していることを解明したので紹介する.
ISSN:1341-1594