コルフィセン置換ミオグロビンによる人工酸素運搬体の分子設計

「和文抄録」筋肉中の酸素貯蔵タンパク質であるミオグロビンを酸素運搬体へと機能変換し, 人工酸素運搬体として利用するために, ポルフィリン異性体分子を利用する新しい試みを行った. ミオグロビンのヘムを除去してポルフィリン異性体類で再構成すると, ポルフィセンとヘミポルフィセンでは酸素親和性を上昇したが, コルフィセンでは酸素親和性を低下した. コルフィセンはメソ位炭素原子が(2, 1, 0, 1)の様式で配列する「台形のポルフィリン」である. アルキル型鉄コルフィセンをふくむミオグロビンの酸素親和性はP50 = 6.7 mmHgであり, 分子周辺に電子吸引性置換基エトキシカルボニル基を導入すると...

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Veröffentlicht in:人工血液 2008-07, Vol.16 (1), p.3-9
Hauptverfasser: 根矢三郎, 星野忠次
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「和文抄録」筋肉中の酸素貯蔵タンパク質であるミオグロビンを酸素運搬体へと機能変換し, 人工酸素運搬体として利用するために, ポルフィリン異性体分子を利用する新しい試みを行った. ミオグロビンのヘムを除去してポルフィリン異性体類で再構成すると, ポルフィセンとヘミポルフィセンでは酸素親和性を上昇したが, コルフィセンでは酸素親和性を低下した. コルフィセンはメソ位炭素原子が(2, 1, 0, 1)の様式で配列する「台形のポルフィリン」である. アルキル型鉄コルフィセンをふくむミオグロビンの酸素親和性はP50 = 6.7 mmHgであり, 分子周辺に電子吸引性置換基エトキシカルボニル基を導入すると酸素親和性はP50 = 37 mmHgまたは400 mmHgまで低下し, 十分な酸素運搬能を付与できた. ミオグロビンの酸素運搬体への機能変換は, コルフィセン分子の形状に由来し, 鉄原子は台形の金属ホール中で不安定となり分子平面から浮き出す. さらに, 鉄コルフィセンには短い鉄-ピロール結合があり, 電子吸引性置換基の影響を鋭敏に受ける. 今までにない酸素親和性制御因子を内在するコルフィセンは, ミオグロビンを利用した酸素運搬体を創製するための新しい機能性分子であると考えられる.
ISSN:1341-1594