血液代替物としての治療用ヒト抗体の開発

「和文抄録」組換えDNA技術の進歩により, 様々な疾患に対する治療薬としてヒト抗体を単離調製することが可能となった. 筆者らは厚生労働省の研究費による人工血液開発研究として「臨床に役立つヒト抗体開発研究」を実施している. 具体的には, ファージディスプレー系を用いた抗体ライブラリー作製を基盤技術として, ウイルス感染症 (VZV, インフルエンザウイルス, ロタウイルス) に対してはウイルスを中和する能力のある抗体単離, 病原菌毒素 (ジフテリア毒素, 破傷風毒素, ボツリヌス毒素) に対しては毒素中和抗体, さらにハブ毒中和抗体の単離調製に成功した. 単離調製した抗体に関しては, 臨床試験を...

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Veröffentlicht in:人工血液 2005-03, Vol.13 (1), p.13-21
1. Verfasser: 黒澤良和
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「和文抄録」組換えDNA技術の進歩により, 様々な疾患に対する治療薬としてヒト抗体を単離調製することが可能となった. 筆者らは厚生労働省の研究費による人工血液開発研究として「臨床に役立つヒト抗体開発研究」を実施している. 具体的には, ファージディスプレー系を用いた抗体ライブラリー作製を基盤技術として, ウイルス感染症 (VZV, インフルエンザウイルス, ロタウイルス) に対してはウイルスを中和する能力のある抗体単離, 病原菌毒素 (ジフテリア毒素, 破傷風毒素, ボツリヌス毒素) に対しては毒素中和抗体, さらにハブ毒中和抗体の単離調製に成功した. 単離調製した抗体に関しては, 臨床試験を開始すべき段階に達している. 一方, 細胞膜上に存在する多数の抗原分子に対して網羅的に抗体を単離する技術開発に成功し, その結果癌特異抗原の同定とそれに対する治療用ヒト抗体の同時単離が可能となった. 本文では, 我々が行っている様々な疾患に対する治療用ヒト抗体単離に関して, 研究開発過程の総括及び現状紹介を行う.
ISSN:1341-1594