重篤な出血性ショックに対するリポソームカプセル化ヘモグロビン "ネオレッドセル" の効果

リポソームカプセル化ヘモグロビン・ネオレッドセル(NRC)は粘度が低く, 酸素運搬能に優れている. そこでNRCを重症の出血性ショックに投与し効果を検討した. ビーグル犬を用い, 静脈内麻酔後気管内挿管し50%の濃度の酸素を吸入させた. 静脈より30mL/minの速度で脱血し収縮期血圧が60mmHg台のショック状態とし, そのまま30分間治療せずに放置した後にNRCを投与し, これを繰り返した. 動物をショックより回復させるにはNRCを脱血量の1.5倍量投与する必要があった. 動物は3回のショックに耐えたが4回目にはショックから回復せずに死亡した. NRC投与にもかかわらず血管抵抗が増加し,...

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Veröffentlicht in:人工血液 1996-09, Vol.4 (3), p.69-75
Hauptverfasser: 薄場彰, 元木良一, 福井秀男, 緒方嘉貴, 後藤博, 木村哲寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:リポソームカプセル化ヘモグロビン・ネオレッドセル(NRC)は粘度が低く, 酸素運搬能に優れている. そこでNRCを重症の出血性ショックに投与し効果を検討した. ビーグル犬を用い, 静脈内麻酔後気管内挿管し50%の濃度の酸素を吸入させた. 静脈より30mL/minの速度で脱血し収縮期血圧が60mmHg台のショック状態とし, そのまま30分間治療せずに放置した後にNRCを投与し, これを繰り返した. 動物をショックより回復させるにはNRCを脱血量の1.5倍量投与する必要があった. 動物は3回のショックに耐えたが4回目にはショックから回復せずに死亡した. NRC投与にもかかわらず血管抵抗が増加し, 心拍出量が減少して心不全が進行し, しかも酸素消費量が増加した. しかしNRCは心拍出量の減少分を動静脈血酸素含量較差(AV較差)の増加で代償して酸素需要増加に対応した. これに対して, 赤血球はAV較差を増加できず対応できなかった.
ISSN:1341-1594