妊娠末期の母体・胎児における股関節開排制限の発生要因

「要旨」我々が診察した乳児を対象として, 妊娠末期の母体・胎児における股関節の開排制限の発生要因を検討した. 2009年6月から2010年6月までに, 本学関連の産院で出生し, 4か月検診にて我々が診察した乳児43例を対象とした. 股関節の開排制限のない児は33例, 開排制限のある児は10例であった. それぞれの症例について, 母親の出産時年齢, 分娩時の妊娠週数, 妊娠末期の羊水指数 (amniotic fluid index) , 分娩時胎位, 児の性別, 出生順位, 出生時体重を調査した. 調査項目の中で, 出生1週間前のamniotic fluid indexが, 開排制限のない児とあ...

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Veröffentlicht in:日本小児整形外科学会雑誌 2012-06, Vol.21 (1), p.20-23
Hauptverfasser: 雨宮昌栄, 吉川一郎, 渡邉英明, 星野雄一, 木内敦夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」我々が診察した乳児を対象として, 妊娠末期の母体・胎児における股関節の開排制限の発生要因を検討した. 2009年6月から2010年6月までに, 本学関連の産院で出生し, 4か月検診にて我々が診察した乳児43例を対象とした. 股関節の開排制限のない児は33例, 開排制限のある児は10例であった. それぞれの症例について, 母親の出産時年齢, 分娩時の妊娠週数, 妊娠末期の羊水指数 (amniotic fluid index) , 分娩時胎位, 児の性別, 出生順位, 出生時体重を調査した. 調査項目の中で, 出生1週間前のamniotic fluid indexが, 開排制限のない児とある児においてそれぞれ11.5cm, 8.5cmと有意に差がみられた. その他の項目では明らかな差はみられなかった. 今回の調査では出生1週間前のamniotic fluid indexにおいて, 股関節開排制限のある児が開排制限のない児よりも有意に低値であった. この結果から, 胎児にとって羊水量に伴う子宮内の環境が股関節の開排に影響を及ぼすことが示唆された.
ISSN:0917-6950