先天股脱 (Rb)

1957年Pavlikにより報告されたRiemenbugel (Rb) 法は, 鈴木により1960年に本邦に紹介された後, 多くの追試と報告がなされ, その優れた成績により, 乳児先天股脱治療の主流を占めるにいたった. 今回はRb法導入後, 半世紀が過ぎようとしている現在, その長期成績とそれを左右する因子, またその対策は何かを明らかにすることを主眼として主題が組まれ, 口演と討論が行われた. ほとんどの報告がRb法にて整復後, 成長終了時期まで経過をみた成績の報告であった. 詳細は各演者の報告を参考にされたいが, おおむね整復率は80%程度, ペルテス様変形 (ペ変) 率は施設により異なる...

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Veröffentlicht in:日本小児整形外科学会雑誌 2006-08, Vol.15 (2), p.180-180
Hauptverfasser: 服部義, 泉田良一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1957年Pavlikにより報告されたRiemenbugel (Rb) 法は, 鈴木により1960年に本邦に紹介された後, 多くの追試と報告がなされ, その優れた成績により, 乳児先天股脱治療の主流を占めるにいたった. 今回はRb法導入後, 半世紀が過ぎようとしている現在, その長期成績とそれを左右する因子, またその対策は何かを明らかにすることを主眼として主題が組まれ, 口演と討論が行われた. ほとんどの報告がRb法にて整復後, 成長終了時期まで経過をみた成績の報告であった. 詳細は各演者の報告を参考にされたいが, おおむね整復率は80%程度, ペルテス様変形 (ペ変) 率は施設により異なるが, 軽症例も含めると10%前後の報告が多かったように思う. 長期成績では, 当然のことながら重症ペ変を呈した症例の成績は悪いが, ペ変を呈しない症例でも, 成長終了時に臼蓋形成不全が遺残する例 (主としてSeverin分類III群) がかなりある事が報告された. 短期成績との比較では, Rb除去後の一過性側方化など, 整復後1~2年は変動するものの, 3~4歳ごろまで経過観察を行えば, ある程度長期成績が予測できるとの意見が多かった. この長期成績を左右する因子はまずペ変であるが, 施設によりペ変率が異なる事から, まだまだペ変を生じさせない努力の余地はあると考えられた. 残る因子は遺残する臼蓋形成不全であるが, いわゆる脱臼健側股でも, 成長終了時に臼蓋形成不全を呈する例がままあるごとく, 個体が持つgenetic factorがこの臼蓋形成に影響を与えていることは十分考えられる. 今後の対策としては, Rb法整復後に行った補正手術の長期成績が, いずれの施設からの報告でも良好なことを考えれば, 経過不良例を正しく見定め, 正しい時期に, 正しい補正手術を行う事がRb法の長期成績を改善する一つの考え方であろう. 最後に付け加えると今回の報告も従来通りの単純X線による検討が主であったが, 骨化部分の少ない乳幼児での情報は限られていると言わざるを得ない. これらの症例が治療された15年前では致し方ないが, 経過不良例を正しく見定めるにはエコー, MRI, あるいはCT等の新しい診断機器を用いてのより精細な検討が必要であるとの印象を持った.
ISSN:0917-6950