分娩麻痺における交叉過誤神経支配の肋間神経移行術による治療

「要旨」重度の分娩麻痺はその回復過程で交叉過誤神経支配を生じ, 損傷を被った筋相互間に随意運動時に様々な程度の同時収縮を生じる. その結果, 個々の筋の収縮が十分あるにもかかわらず円滑な自動運動が障害され, 日常生活上問題となることがある. 上腕二頭筋と上腕三頭筋との間に生じた同時収縮により肘機能が障害された分娩麻痺患者5例の機能改善を目的として, 肋間神経を2例は筋皮神経に, 3例は楔骨神経上腕三頭筋筋枝に移行した. 1歳と1.8歳の症例では肩関節運動との分離を重視して肋間神経を筋皮神経へ移行した. 5.8歳, 8.1歳, 12.5歳の症例では肋間神経移行術の成績を考慮して橈骨神経上腕三頭筋...

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Veröffentlicht in:日本小児整形外科学会雑誌 2001-01, Vol.10 (1), p.20-22
Hauptverfasser: 川端秀彦, 柴田徹, 松井好人, 谷内孝次
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」重度の分娩麻痺はその回復過程で交叉過誤神経支配を生じ, 損傷を被った筋相互間に随意運動時に様々な程度の同時収縮を生じる. その結果, 個々の筋の収縮が十分あるにもかかわらず円滑な自動運動が障害され, 日常生活上問題となることがある. 上腕二頭筋と上腕三頭筋との間に生じた同時収縮により肘機能が障害された分娩麻痺患者5例の機能改善を目的として, 肋間神経を2例は筋皮神経に, 3例は楔骨神経上腕三頭筋筋枝に移行した. 1歳と1.8歳の症例では肩関節運動との分離を重視して肋間神経を筋皮神経へ移行した. 5.8歳, 8.1歳, 12.5歳の症例では肋間神経移行術の成績を考慮して橈骨神経上腕三頭筋筋枝へ移行した. 術後3~6年平均4.6年経過したが, いずれの方法でも良好な肘機能の回復を得ることが確認できた.
ISSN:0917-6950