下顎歯肉に発生した骨形成性エプーリスの1例

「要旨」 : エプーリスは歯肉に生じる良性限局性腫瘤の総括的な臨床診断名である. 腫瘤中に骨組織の形成を伴うものを骨形成性エプーリスと呼ぶが, その発生頻度は比較的まれである. 今回著者らは, 下顎歯肉部に発生した骨形成性エプーリスを経験したので報告する. 症例は84歳, 男性. 主訴は下顎前歯部が気になる. であった. 10年前より下顎前歯部歯肉の腫脹を自覚していた. 近在歯科医院より精査加療依頼により来院した. 腫瘤は弾性軟で, 大きさは15×20mm大の比較的境界明瞭な正常粘膜色の病変であった. 局所麻酔下に腫瘤を骨膜下で一塊として切除した. 骨との癒着はほとんどなく剥離は容易であった....

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Veröffentlicht in:明海歯科医学 2020-02, Vol.49 (1), p.37-40
Hauptverfasser: 松本安吏, 森一将, 内田洋子, 藤原敬子, 嶋田淳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」 : エプーリスは歯肉に生じる良性限局性腫瘤の総括的な臨床診断名である. 腫瘤中に骨組織の形成を伴うものを骨形成性エプーリスと呼ぶが, その発生頻度は比較的まれである. 今回著者らは, 下顎歯肉部に発生した骨形成性エプーリスを経験したので報告する. 症例は84歳, 男性. 主訴は下顎前歯部が気になる. であった. 10年前より下顎前歯部歯肉の腫脹を自覚していた. 近在歯科医院より精査加療依頼により来院した. 腫瘤は弾性軟で, 大きさは15×20mm大の比較的境界明瞭な正常粘膜色の病変であった. 局所麻酔下に腫瘤を骨膜下で一塊として切除した. 骨との癒着はほとんどなく剥離は容易であった. 病理組織学的所見は, 粘膜上皮は厚く角化を伴う重層扁平上皮に被覆された線維性結合組織が主体の病変で, 一部に骨様の硬組織形成が認められた. 病理組織学的診断を骨形成性エプーリスとした. 切除後, 再発傾向はなく経過良好である. 骨形成性エプーリスの発症頻度は5.1~19.0%とされ病悩期間が長いほど増大するが, 骨形成については統一した見解は得ていない. 症例は超高齢者で腫瘤形成から10年以上の経過があり歯肉組織内において間葉系細胞が骨形成への化成変化を生じたものと考えられた.
ISSN:1881-4298