不織布フィルター法で採取したイヌ末梢血由来単核球とβ-リン酸三カルシウム微細顆粒のイヌにおける実験的骨欠損部への骨再生効果
「要旨」: 近年, 歯周組織や骨組織を再生させる目的で, 組織再生医工学に基づいた材料の開発, すなわちハイドロキシアパタイト, β-リン酸三カルシウム (β-tricalcium phosphate, β-TCP) 等の足場材料, 塩基性線維芽細胞増殖因子, 骨形成タンパク質等の増殖因子, そして間葉系幹細胞等の細胞を含む材料の開発, 検討が行われている. 間葉系幹細胞を用いた組織再生は優れた組織再生能力を持つとされているが, 移植にあたり, その施設やコストの面で改善の余地があることが知られている. そこで本研究は, より簡便で生体に対し侵襲が少なく採取可能な末梢血由来単核球 (perip...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 明海歯科医学 2012-09, Vol.41 (2), p.67-80 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「要旨」: 近年, 歯周組織や骨組織を再生させる目的で, 組織再生医工学に基づいた材料の開発, すなわちハイドロキシアパタイト, β-リン酸三カルシウム (β-tricalcium phosphate, β-TCP) 等の足場材料, 塩基性線維芽細胞増殖因子, 骨形成タンパク質等の増殖因子, そして間葉系幹細胞等の細胞を含む材料の開発, 検討が行われている. 間葉系幹細胞を用いた組織再生は優れた組織再生能力を持つとされているが, 移植にあたり, その施設やコストの面で改善の余地があることが知られている. そこで本研究は, より簡便で生体に対し侵襲が少なく採取可能な末梢血由来単核球 (peripheral blood mononuclearcells, PBMCs) を用い, 新たな骨移植材料の開発を行うことを目的とした. 雄雑種成犬の前肢静脈血より, 比重遠心分離法 (Ficoll群) と不織布フィルター法 (Filter群) でPBMCsの分離を行い,これをβ-TCP微細顆粒 (β-TCP顆粒) と混和し, インキュベーションを行った. このPBMCs付加β-TCP顆粒をイヌ下顎骨に移植し, 骨再生効果を組織学的に検討した. 観察期間は4週および8週とした. その結果, コントロール群と比較し, Ficoll群およびFilter群では新生骨形成量が多い傾向が認められた. さらに8週のコントロール群とFilter群との間では統計学的有意差が認められた. PBMCs分離前後の血球数の比較から, Filter群では血球含有率が高く, このことが結果に影響したことが考えられる. 以上の結果から, 不織布フィルターを用いて採取したPBMCsとβ-TCP顆粒は, 歯周組織再生あるいは骨組織再生に有用な材料となりうることが示唆された. |
---|---|
ISSN: | 1881-4298 |