脱髄における分岐型O-マンノース糖鎖の機能

多発性硬化症などの脱髄疾患の治療において、髄鞘の再生(再ミエリン化)は重要な課題である。N-アセチルグルコサミン転移酵素IX(GnT-IXまたはGnT-Vb)は、生体内で分岐型O-マンノース糖鎖の合成を担う酵素であり、脳で特異的に発現する。GnT-IX欠損マウスは、クプリゾン誘発性脱髄モデルにおいて、野生型マウスと比べて有意な再ミエリン化の亢進を示した。GnT-IX欠損マウスではアストロサイトの活性化抑制と、髄鞘再生を担うオリゴデンドロサイト前駆細胞の分化亢進が観察され、これらが再ミエリン化亢進の要因であると考えられた。GnT-IXが形成するHNK-1末端分岐型O-マンノース糖鎖は、受容体型プ...

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Veröffentlicht in:Trends in Glycoscience and Glycotechnology 2019/05/25, Vol.31(180), pp.J77-J85
Hauptverfasser: 作田, 香子, 兼清, 健志, 谷口, 直之, 北爪, しのぶ
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:多発性硬化症などの脱髄疾患の治療において、髄鞘の再生(再ミエリン化)は重要な課題である。N-アセチルグルコサミン転移酵素IX(GnT-IXまたはGnT-Vb)は、生体内で分岐型O-マンノース糖鎖の合成を担う酵素であり、脳で特異的に発現する。GnT-IX欠損マウスは、クプリゾン誘発性脱髄モデルにおいて、野生型マウスと比べて有意な再ミエリン化の亢進を示した。GnT-IX欠損マウスではアストロサイトの活性化抑制と、髄鞘再生を担うオリゴデンドロサイト前駆細胞の分化亢進が観察され、これらが再ミエリン化亢進の要因であると考えられた。GnT-IXが形成するHNK-1末端分岐型O-マンノース糖鎖は、受容体型プロテインチロシンホスファターゼζ(PTPRZ)を修飾しており、脱髄誘導時、活性化アストロサイトにおいて高発現した。また、GnT-IXはPTPRZの局在を調節することが示唆された。GnT-IX欠損マウスに大きな異常は認められなかったことから、GnT-IXは脱髄疾患において再ミエリン化を促進するための治療標的となる可能性が示唆される。
ISSN:0915-7352
1883-2113
DOI:10.4052/tigg.1959.2J