胸部CT上腫瘤状陰影を呈し, 診断に難渋した若年肺結核の1例

「要旨」: 肺結核の診断は画像検査および喀痰の抗酸菌塗抹検査, PCR検査によってなされる場合がほとんどであり, 画像が典型的でなくかつ喀痰で検出されない場合は診断に難渋し, 治療の遅れにつながる. 〔症例〕26歳のフィリピン人男性. 咳嗽のため前医を受診し, 胸部CT検査で右上葉の腫瘤状陰影を指摘された. インターフェロンγ遊離試験 (IGRA) 陽性のためX年3月当科紹介受診. 喀痰抗酸菌塗抹陰性, 結核菌PCR陰性のため気管支鏡を施行したが出血多量で生検できず, ブラシ擦過・気管支洗浄液の抗酸菌塗抹および結核菌PCRは陰性であった. そのため経胸壁的エコーガイド下針生検を施行したところ非...

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Veröffentlicht in:結核 2014-10, Vol.89 (10), p.781-785
Hauptverfasser: 西野亮平, 上野沙弥香, 佐々木啓介, 吉岡宏治, 宮崎こずえ, 山岡直樹, 倉岡敏彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」: 肺結核の診断は画像検査および喀痰の抗酸菌塗抹検査, PCR検査によってなされる場合がほとんどであり, 画像が典型的でなくかつ喀痰で検出されない場合は診断に難渋し, 治療の遅れにつながる. 〔症例〕26歳のフィリピン人男性. 咳嗽のため前医を受診し, 胸部CT検査で右上葉の腫瘤状陰影を指摘された. インターフェロンγ遊離試験 (IGRA) 陽性のためX年3月当科紹介受診. 喀痰抗酸菌塗抹陰性, 結核菌PCR陰性のため気管支鏡を施行したが出血多量で生検できず, ブラシ擦過・気管支洗浄液の抗酸菌塗抹および結核菌PCRは陰性であった. そのため経胸壁的エコーガイド下針生検を施行したところ非乾酪性肉芽腫を認め, IGRA陽性と合わせ肺結核と判断しX年4月より抗結核薬を開始した. 治療開始4週間後に初診時の喀痰抗酸菌培養が陽性となり, 肺結核と確診した. 〔考察〕画像所見や喀痰検査は重要であるが常に診断につながる所見が得られる訳ではない. 結核を疑う症例において喀痰検査や画像所見で診断が得られない場合は組織診断, 臨床判断も含む総合的な対応が治療の遅れを防ぐためには重要と考えられた.
ISSN:0022-9776