在宅医療における結核発症状況と臨床的特徴の検討

〔目的〕在宅医療患者群における新規結核発症に関して自施設管理症例を用いて検討を行い,在宅医療における結核発症状況を明らかにすること。〔対象と方法〕2003年1月から2012年12月の10年間に当院で在宅医療管理を行った症例502人(登録時の平均年齢79.5歳)を対象にして新規結核の発症率と,発症患者の背景,発見契機,診断後の経過について後ろ向きに検討を行った。発症率については統計解析手法として人年法を用い,比較対照群を宮城県全域の70歳以上の一般住民として発症率につき比較した。〔結果〕在宅医療患者群から4/502名(0.8%)が観察期間中に新規に結核を発症した。発症率は10万対298.3人であ...

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Veröffentlicht in:結核 2014, Vol.89(7), pp.649-654
Hauptverfasser: 生方, 智, 神宮, 大輔, 矢島, 剛洋, 庄司, 淳, 高橋, 洋
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔目的〕在宅医療患者群における新規結核発症に関して自施設管理症例を用いて検討を行い,在宅医療における結核発症状況を明らかにすること。〔対象と方法〕2003年1月から2012年12月の10年間に当院で在宅医療管理を行った症例502人(登録時の平均年齢79.5歳)を対象にして新規結核の発症率と,発症患者の背景,発見契機,診断後の経過について後ろ向きに検討を行った。発症率については統計解析手法として人年法を用い,比較対照群を宮城県全域の70歳以上の一般住民として発症率につき比較した。〔結果〕在宅医療患者群から4/502名(0.8%)が観察期間中に新規に結核を発症した。発症率は10万対298.3人であり,宮城県の一般住民(70歳以上)と比較して8.27倍(95% CI:3.06-22.3)の発症率であった。在宅医療導入から結核発症までの期間は3カ月から最長16年であり,いずれも医療機関受診時に発見されていた。〔考察と結論〕在宅医療由来の結核発症率は高齢一般人口と比較して高く,早期発見が難しい患者群である。在宅医療の推進やニーズが高まっている近年において,結核は在宅医療の現場でなお一層の留意が必要な疾患であることを認識する必要がある。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku.89.649