経過を追跡できたMycobacterium kyorinense肺感染症による高齢者致死症例

「要旨」: 症例は85歳男性. 2006年喀血の精査時に, 胸部異常陰影を指摘された. 2年後微熱, 咳嗽, 呼吸困難を認め, 左肺尖の空洞影の他に浸潤影が新たに出現した. 喀痰・気管支洗浄液より抗酸菌が検出されたが菌種は同定されず, 稀な菌種の非結核性抗酸菌症と診断された. 治療開始後, 一時軽快傾向にあったが自己中断し, その後排菌が持続して浸潤影や空洞病変が増悪した. 2011年肺アスペルギルス症の合併も疑われ, 抗酸菌症治療の再開と抗真菌薬投与を受け一時軽快した. しかし全身状態の悪化や認知症のため, 退院後服薬が継続できず死亡に至った. 死後, hsp65およびrpoB遺伝子解析によ...

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Veröffentlicht in:結核 2014-04, Vol.89 (4), p.509-513
Hauptverfasser: 榊原ゆみ, 岸本久美子, 小島薫, 藤江俊秀, 稲瀬直彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」: 症例は85歳男性. 2006年喀血の精査時に, 胸部異常陰影を指摘された. 2年後微熱, 咳嗽, 呼吸困難を認め, 左肺尖の空洞影の他に浸潤影が新たに出現した. 喀痰・気管支洗浄液より抗酸菌が検出されたが菌種は同定されず, 稀な菌種の非結核性抗酸菌症と診断された. 治療開始後, 一時軽快傾向にあったが自己中断し, その後排菌が持続して浸潤影や空洞病変が増悪した. 2011年肺アスペルギルス症の合併も疑われ, 抗酸菌症治療の再開と抗真菌薬投与を受け一時軽快した. しかし全身状態の悪化や認知症のため, 退院後服薬が継続できず死亡に至った. 死後, hsp65およびrpoB遺伝子解析により起因菌はMycobacterium kyorinenseと判明した. 新菌種による非結核性抗酸菌症であり, 5年間臨床経過を追跡できた貴重な症例であり報告する.
ISSN:0022-9776