ソラフェニブによる肝細胞癌治療中に発症した肺結核症の1例
「要旨」: 症例は数個の肺結節影がみられる肝細胞癌の66歳の男性で, 肺転移が疑われたためソラフェニブで治療が開始されていた. 投与2ヵ月後に左上葉の結節影が空洞化し, 新たに右上葉の胸膜直下の気腫部位に浸潤影が出現した. 喀痰抗酸菌塗抹と結核菌PCRが陽性と判明し, 少なくとも一部は活動性肺結核であると診断した. 抗結核薬を投与開始し, 排菌は停止したが, 肝細胞癌が進行し永眠された. 右上葉の結節影は経過中変化なく, 陳旧性病変と考えられ, 左上葉の空洞影は活動性病変と考えられた. ソラフェニブは肝外病変のある肝細胞癌において有効性が示された分子標的薬で, 抗腫瘍効果として肺転移巣を含む腫...
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Veröffentlicht in: | 結核 2013-09, Vol.88 (9), p.671-675 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「要旨」: 症例は数個の肺結節影がみられる肝細胞癌の66歳の男性で, 肺転移が疑われたためソラフェニブで治療が開始されていた. 投与2ヵ月後に左上葉の結節影が空洞化し, 新たに右上葉の胸膜直下の気腫部位に浸潤影が出現した. 喀痰抗酸菌塗抹と結核菌PCRが陽性と判明し, 少なくとも一部は活動性肺結核であると診断した. 抗結核薬を投与開始し, 排菌は停止したが, 肝細胞癌が進行し永眠された. 右上葉の結節影は経過中変化なく, 陳旧性病変と考えられ, 左上葉の空洞影は活動性病変と考えられた. ソラフェニブは肝外病変のある肝細胞癌において有効性が示された分子標的薬で, 抗腫瘍効果として肺転移巣を含む腫瘍内部に壊死をきたし, 空洞を形成することがある. しかしながら, 本例のごとく肺結核症を合併する場合もあるので, 慎重に鑑別診断をする必要がある. |
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ISSN: | 0022-9776 |