ホームレス "青空DOTS" の意義 - 治療困難事例への路上におけるDOTSの経験

「要旨」:〔目的〕治療を放棄し路上に戻ったが, 路上のDOTSにより治療成功した事例への支援活動を振り返り, 困難事例への効果的な結核対策のあり方について検討した. 〔方法〕喀痰塗抹陽性肺結核と診断された70歳ホームレス男性を対象とし, DOTSによる治療中に観察された患者のエピソードをエンパワーメントの観点から質的に分析した. 〔結果〕患者は集団生活が苦手で医療/福祉提供者とのトラブルが絶えず, 4回の強制/自己退院を繰り返した. 保健所では入院当初から頻回に訪問し関係性構築に努めた. 2カ月半の治療中断後, 医療機関や福祉事務所(医療単給)の協力が得られ, 居所近くの公園で"青空...

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Veröffentlicht in:結核 2013-04, Vol.88 (4), p.429-437
Hauptverfasser: 斉藤礼子, 高尾良子, 深澤啓治, 大森正子, 長嶺路子, 島史子, 神楽岡澄, 福内恵子, 石川信克
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」:〔目的〕治療を放棄し路上に戻ったが, 路上のDOTSにより治療成功した事例への支援活動を振り返り, 困難事例への効果的な結核対策のあり方について検討した. 〔方法〕喀痰塗抹陽性肺結核と診断された70歳ホームレス男性を対象とし, DOTSによる治療中に観察された患者のエピソードをエンパワーメントの観点から質的に分析した. 〔結果〕患者は集団生活が苦手で医療/福祉提供者とのトラブルが絶えず, 4回の強制/自己退院を繰り返した. 保健所では入院当初から頻回に訪問し関係性構築に努めた. 2カ月半の治療中断後, 医療機関や福祉事務所(医療単給)の協力が得られ, 居所近くの公園で"青空DOTS"を実施(293日間)した. 保健師が主治医に症状を伝え薬が処方され, 保健所で菌検査を実施した. 空腹が続くと服薬も拒否的になったが, 弁当等の提供により解決された. DOTSを含めた包括的支援の中で健康意識が向上し, 将来を考えられるようになった. 〔考察〕患者が選択した"青空DOTS"は, 単に治療成功の手段だけでなく自立に向けた一助となった. DOTSにより患者や支援者はエンパワーされ, 前向きなパートナーシップが構築された. 個々のニーズに合わせた柔軟で多様な包括的支援を行うことの成果は大きい.
ISSN:0022-9776